失墜し花弁の醜悪

小説 失恋 ウログ限定ショートストーリー
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皆様、徒然なるままに遊ばせ、いらっしゃいますところ誠に恐縮でございます。鵯と申す者です。

普段は占いツクールで活動しております。興味をお持ちになられた方、是非占いツクールにお越しくださいませ。お待ちしております。

今回は僕が没にしたショートストーリーをチラ見せします。是非ごゆっくりご閲覧下さいませ。










この気持ちに名前をつけるとするなら正しく愛だった。男女間で成立するような甘ったるい情緒などではなく。この世に唯一無二である彼女に恋に近い我欲を抱いていたのも本当だ。この凍てつくような冷たさは決して失恋したからではない。彼女の悲しみは俺の言葉で癒してあげなければ。俺以外の誰かの声で癒すなんてあり得ない。だって俺と彼女が結ばれる運命は最初から決まっていたんだから。

「ごめん。私たち別れよう。このままだと私たち二人とも不幸になっちゃうから。」

伏し目がちにそう言った彼女。何かを誰かに吹き込まれたのだろうか。もしくは冷却期間を設けたいということだろうか。まさかドッキリだということはないだろう。彼女の泣きそうな瞳を見れば分かる。それでも別れるのが彼女の幸せだというならば、此処は彼女の言葉を尊重するべきだと思った。

「いいよ。君がそう言うなら仕方ないよ。でも、僕はいつでも味方だから。」

彼女の言葉に頷くと彼女はくるりと俺に背を向けた。それと同時に目頭が熱くなる。今までを思い出したからかもしれない。彼女が迷子になって必死に人混みをかき分けて探したこともあった。しかも遠距離恋愛だったものだから会ったときの嬉しさはひとしおだった。会えないときの募った寂しさを埋めるように体温を分かち合った。

太陽のような君がいつも笑っている彼女の笑顔が俺は大好きだった。はにかむ姿も照れ笑いも溌剌とした快活な笑顔も悪戯を企んでいるときの小悪魔な笑顔も全部全部俺の宝物だったのに静かで君の光に照らされることでしか自分を知り得ない俺の大切な光だったのに彼女は温もりさえ残してくれない。微風のように指の隙間から涙とともにすり抜けていく。

この彼女との関係を一輪花に見立てるならば、実を結ばない、もしくは蕾のまま腐るものだったのかもしれない。でもそれでいい。彼女が花開く必要はない。だって彼女が開花したらその美しさに男という害虫が集るから。甘い香りに誘われて薄っぺらな青臭い興味で彼女を摘むなんて俺が赦さない。彼女の為に俺は今日も彼女を見つめるのだ。

鵯(ひよどり)


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