一緒にいられた時間

小説 総集編
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いつかやってくる

そんな事は分かっていた

でも、いざその時がやってくると

とても寂しいもので

自分は何もできなかったと後悔をする

あの時自分にできることがあったのなら

それはどんなに素晴らしいことだろうか

そう思ったことを今はいないあの子に伝えたい

くも膜下出血で 14年間と言う短い

人生の中でしか生きられなかった

私の大切な友達に

その少女は多くの持病抱えていた。

なので、学校にも行けなくずっと入院していて

腕や足には多くの管がつながっていた。

私が彼女を初めて見たのは肺炎になって少しの間入院していたときのこと、

まだ彼女の管が腕にしかない時

廊下ですれ違った。

色素が抜けたとても薄い茶色の髪が

揺らいできれいに光っていて、

思わず声をかけてしまった

最初は驚いたような顔をしていたけど

すぐ笑顔になって一緒に話してくれた

それから、私はよく彼女と話すようになった

彼女と話すようになってから何日かたった日の事、

私が退院することになった。

私は彼女に

「毎日お見舞いに来るから話そうね」

そういった。

私の退院のことを聞いた彼女は

悲しそうな顔をしていたが、

そのことを聞いた途端に

満面の笑みで「うん」と頷いてくれた。

それが私にとって

嬉しくて、嬉しくて、

たまらなかった。

でも、世の中はそんなに甘くなくて

彼女の中の病気は確実に悪い方に進んでいた。

ある日、いつものように彼女の見舞いに来た

いつも彼女の病室に行くと

彼女は笑顔で私を迎えてくれる

でも今日は違った

今日、いつものように彼女の病室に行くと

そこには誰ものっていないベットがあるだけだった

私は、はっとしてナースステーションに行った

「すみません---さんの病室ってどこですか?」

看護師さんは少し戸惑うような顔して

「---さんの病室は移動になりました」

私が看護師さんに部屋を聞くと

普通に教えてくれた

私は教えてもらった部屋に急いで行った

病院内なので走れない

私はできるだけ早く歩きながら

そっと心の準備をした

彼女が入ったのは

ICU

集中治療室だったから

病気が悪化したのだろう

とにかく詳しいことを知りたかった

そんなことを考えながら歩いていると

いつの間にか治療室の前についていた

息を呑んで私はその部屋に入る

中にいた看護師さんに彼女の居場所を聞いて

私はそこに行った

そこにはいつものように明るい笑顔浮かべている

彼女がいた

管の数も増えている

「病気悪化しちゃったらしくてここ入れられちゃったんだ」

そう、明るい声で明るい笑顔で言った

その後本人の口から

詳しいことを聞いた

くも膜下出血になってしまったと

足が動かせなくなったと

残りの命は一年ぐらいだってこと

私はそれを聞いてひどく絶望した

この世はとても不条理だと思った

彼女みたいな明るくて優しい人が

あと一年で死んでしまう事に

「大丈夫だよ」

そう思ってたことが顔に大きく出たらしく

彼女に肩を叩かれながら言われた

「もう足は動かないけど車いすと持ち運び用の点滴待てば外にも行ける、それに逆に言えば一年は確実に生きられる。氷花といろんなところ見てみたい、私の最後のお願い聞いてくれる? 」

彼女がそういう

私はそっとうなずいた

ICUでも外には行けるほどの体力はあるらしい

医者にもそう言われたという

だったら私は

「何でも言って、生きててよかったって思える一年にしてあげる」

そう言った。

そのような約束をして

早5ヶ月

彼女がICUを出てからは

私は、彼女と色んな事をやった

7月、七夕をやった、その日は彼女の誕生日でもあったので誕生日会をやった!喜んでくれたようでなによりだった。

8月、海に行った
日差しが強くて焦げそうだった。

9月、彼女の病室で一緒に本を読んだ
彼女は1日で300ページある本を5冊読んだ、、、

10月、紅葉狩りに行った
綺麗に葉が色付いて私も彼女も見惚れた。

11月、冷え込んできたのであまり遠くへは行けない、なので病院の中庭を彼女と歩いていると雪が降ってきた。
彼女にとっては人生最後の初雪、
それは、しんしんと降り続けていた。

それからも彼女の最後の時間まで

私は彼女の「お願い」を聞いた

雪だるまを作ったり

初詣行ったり

豆まきしたり

雛人形飾ったり

お花見行ったり

全てが楽しかった

本当に、本当に

でも、彼女との楽しい時間が増えていくたび、

彼女と一緒に居られる時間は減ってゆく、

そんなことになることは最初からわかっていた

でも、耐えられなくて

彼女の死期が近づいて行くたびに

私は夜な夜な1人で泣く回数が増えた

やがて、その時はやってきた

彼女が余命宣言されてから

一年が経つ

あと、一週間

彼女はもう歩けない

手を動かすこともできない

人形のようにずっとベットで

横になってた

それでも、私は毎日彼女に会っていた

その間の一週間は彼女の両親も居た

ずっと、ただそっと彼女の手を握っていた。

そして、ついに迎えが来てしまった

私が彼女の枕元に座っていると

突然彼女が話し出した

「もうすぐだ」と

私は泣き出しそうになった

そして、彼女の両親は

泣いていた

「逝くな!」

「逝かないで」

嗚咽をこぼしながら

ずっと

そんな中

私を見ながら彼女は

「ありがとう」

そう言った

私は彼女の行っている事を

聞きたくなかった

「氷花といられてよかった」

「やめてよ」

「もう少し一緒に居たかった」

「お願いだから」

「氷花と一緒に色んなところ行って色んな景色見て」

「お願い、、、」

「ああ、世界ってこんなに美しいんだって思った」

「美しくなんて無いよ
世界は理不尽だよ」

私の目からは大粒の涙が溢れてきた

「泣かないで氷花、私の本当に最後のお願い、、、私を笑顔で見送って」

そう、言われた

「なんで、、、」

思わずそう聞き返す

「私は、、、氷花、、の、、
いつもの、、、明るい笑顔で、、
送られたい、、、」

途切れ途切れにそういう

私はどうすればいいのか分からなかった

私が戸惑っている間に

彼女は両親に最後の挨拶をする

両親はそれを聴きながら

ずっと、ずっと

泣いていて

父親が、「こちらこそありがとう」

涙ながらそう言った

彼女は満足そうな顔をして

こちらを向く

彼女の瞳を見ながら

私は決心して

笑顔で

「一緒に居てくれてありがとう
楽しかったよ、さようなら」

そう言った

そしたら、彼女も満面の笑みで

「ありがとう、、、さようなら」

そう言ってくれた

その後は、お互い何も言わなかった

そして、5分後

7月6日、彼女の誕生日の前日

午後3時40分

彼女、青木 可憐は

私と両親に見送られながら

そっと、

14年間の人生に終止符を打った

彼女が逝くのを見た瞬間

私の目から大粒の涙がまた溢れた

止めようとしても止まらない

ずっと、私の頬をつたっていいた

悲しかった

もっと彼女と居たかった

そんな想いが込み上げてくる

そんな中ふと、

彼女の最後のお願いを思い出す

そして、冷たくなった彼女の手を握って

泣きながら、それでも笑顔で

「本当にありがとう、ありがとう」

そう繰り返し言った

もう、彼女はいないけど

彼女が美しいといった

この世界で

私は、生きていこうと

心の中で決めて

「見守っててね」

そう、彼女

いや

可憐に言った



END

曼珠沙華


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曼珠沙華
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