『自分らしさ』って、なんですか?
夢月 小説 元ネタは実体験最高ランク : 1 , 更新: 2018/09/07 21:51:30
「『自分らしさ』って、なんだと思う?」
担任の浦川先生に言われ、伏せていた顔を上げて欠伸をひとつ、つく。
今は6時間目。研究授業で自分達のクラス、1年4組だけ6時間なのだ。
ほかのクラスは5時間授業まででとうに下校している。
部活生も、再登校となっているから既に下校済みだ。
周りには中学校の先生全員と、ほかの、知らない人たち─入学式の来賓で見た気がする─もいた。
さっきまでは資料を読んで、それに対しての考えやらをワークシートに記入して、をやっていたはずだ。
ワークシートを見ると
'『( )』とは?'
とあるから、恐らくそこのカッコの中に'自分らしさ'という文字を入れるのだろう。
下の記入欄に自分なりの考えを記入する。
そして、再び顔を伏せる。
眠くはない。ただ、つい、顔を伏せてしまう。
今日は、所謂女の子の日で……女の子特有の、腹痛がきている。
痛すぎて死にたくなってくるが死ぬほうが痛いだろうなぁ、なんて、つまらないことを考えた。
「…朧夜さん、言えますか?」
神様は無情だなぁ、おい。
こんな日に限って先生に当てられるとは、あ、顔を伏せていたからか。
大人しく席から立ち、先生に言うところを確認してから自分の意見を言った。
「『自分であること』」
周りの先生が興味深そうにするのを見て、面倒臭いなぁと思いつつ黒板に書かれたほかの子の意見を見る。
『長所も短所も全てまとめて』『心と体を繋いで』『前の自分と今の自分』とか、いろいろあるが、自分であること、という意見はなかった。
「理由は?」
先生の声に再び目線を先生に向ける。
「んー、例えば……先生、何が好きですか?」
先生は少し驚いてからたこ焼き、と答えた。
流石関西人だなと思いながらへぇ、と返しておく。
「例えば、たこ焼きが好きなのか自分らしいとか、常に笑顔なのが自分らしいとかだったら、数年経ったら変わってるんですよ。好きなものなんて、数年後、常に笑顔だと思うか?辛いことがあって笑顔でいれへんかもしれんでしょ?」
いきなり方言に戻ってしまった、と思いながらきっとここは関西だしいいだろう、と思い直し、説明を続ける。
「だから、たこ焼きが好きなのが自分らしい、とか、常に笑顔なのが自分らしい、とかじゃなくて、『自分であること』が1番自分らしいんじゃないかなって。」
自分らしさ、なんて。いらないと思うけどね。
自分らしさなんて求めるだけ無駄だと、私は思う。
だって、ひとりひとり個性があって、ひとりひとりいい所と悪いところがあって……。
ひとりひとり違う。十人十色。自分らしさを求めなくたって、周りの人は君はこんな人、って、分かってくれてる。
そんな気が、するから。
素敵
黒髪の白雪姫❄️🍎
2018/09/08 1:03:24 違反報告 リンク
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