【小説】一歩だけ、その先へ___２話

Today:1 hit、Yesterday:2 hit、Total:254 hit

Best : 19 , Updated： Aug 27, 2022, 7:54:56 AM

side 凛

昼休み。

あの後、無事に雷を喰らったと、新見から連絡があったよ。ｗ

どんまいｗｗ

、、で。

昼休みとなれば普段は、その新見とお昼を食べるのだが。

今日は少し違う。

その旨を伝えた連絡もしているので問題はない。

何処に行くか？

決まってんだろ、演劇部、、、、それか、部長のところだよ。

女役はもう飽きた…って。

配役変更を申し立てようと思ってさ。

、、にしても。

俺、よくここの演劇部に入れたよな。

だって、ココの演劇部さ。

割と本格的で、いくつもの賞を受賞してるし。

全国的に有名なんだぜ？

俺は中学の頃に気まぐれで演劇部に入って、変に好きになっちゃったから、憧れで入ったんだよな。

ほんと、憧れ“だけ”。

そんな、演劇に将来を託してるわけでもなく。

だから、考えてみれば当然なんだけど、はいるのに試験があるのに驚いて。

ココで篩い落とされるんだろうな、って半ば諦めながら上の空で試験を受けてた。

そしてきっと、同じ演劇部だった、中学の時は部内で技術が一番だったアイツは受かるんだろうなって。

、、、新見とは別のやつね。

そいつは、本気で、演劇に将来を託していたし。
親は世界的な、海外の演劇団？に所属しているらしいしさ。
演劇界のサラブレッドとか言われてるくらい。

なのに。

受かったのは、アイツじゃなくて、俺。

アイツは落ちて、堕ちて、今は不登校になってるほど。

ほんと、、、

『人生って何があるかわからんよなぁ、、、。』

「――はいはい、たしかにそうだけども。そんな事はいいから、要件は何かな？」

「…《加藤陽真理》サン？ｗ」

『はいはい要件をいいますよ、《首藤翔太》センパイ？ｗ』

二重山カギカッコのなかは、各々の役の名前。

そういうかっこいい名前が似合うように生まれたかった人生だったよ全く。

『、、簡単なことっすよ、は――』

「――配役変更は認めねぇけど？w」

くっそ。

なんで分かるんだよこの野郎。

「なんでわかるんだよ…とか思ってるだろ？」

「何年お前の幼馴染やってると思ってんだ。」

そうそう。

この全く配慮にかけるクソ野ｒ…ん”んっ、容赦ない眼の前の男は、信じ難い事に俺の幼馴染。

そんでもって、どういう奇縁だか、同じ部活で、しかも部長、、、。

なんだよ俺のこと好きなのか？（（（

行く先々で現れやがって。

『それじゃあそんな幼馴染の長年の悩みを解決してくださいよ。部長でしょ？センパイだろ？』

敬語にするとマジで女子に間違えられるので、やさぐれた感じの口調を意識している。

年上だろうだね。

こいつはそれ以前に幼馴染だから、他より当たり強めにしてるけど。

「無理だね。それにそう、俺は部長だ。言い換えればこれは部長命令だよ？」

うっっっっわ、こいつ絶対モテないだろ。

可哀想に（哀れみの視線）。（（（（

「…おい、いま失礼なこと考えたろ。」

『いいや別に？考えすぎじゃないの？』

「まぁつまりだ。配役変更は受け付けない。男役もらいたいなら、もう少しハンサムに生まれてこい？w」

「その容姿に生まれたんだから、これは定めだよ、どんまい。」

――んん…？？

……一瞬、殴ろうかと思ったわ。

いや、これがいつものナンパ野郎どもだったら確実に殴ってる。

『もう少しハンサムに生まれ変われるならそうしたいよ…。小3から願ってんだから。』

それを知ってるくせに。

っつか、俺がココに入れたのって部長が幼馴染パワー？

だとしたらすごい、、ヤバくね。

でも、そんな事公に言えないから、表向きには俺の容姿でまとめた、とかか。

だとしたら、堕ちたアイツ可哀想すぎるだろ。

『はぁ……ったく、融通が利かないねぇ、、。』

『はいはい、大人しく諦めますよ。』

、、、運が良かったね。せんぱい。

俺と、幼馴染で。

下手したら、今その大事な顔に怪我させてたよ。

まったく、言葉には気をつけてよね。

「納得したならいいんだけど。…ほら、時間ヤベェしそろそろ戻るぞ。」

『らじゃ。』

練習漬けの日々が、始まる。