思い出

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Best : 4 , Updated: Mar 20, 2026, 6:57:44 AM

日本語における「彼」「彼女」という言葉には、どこか「恋人」というニュアンスが付き纏うらしい。


私は日常会話のなかで、つい「彼は」とか「彼女の」とかって用いがちだ。
誰かのことを固有名詞で呼ぶのが、どうも、気恥ずかしくて苦手なので。


ある友人は、「ボーイフレンドがいたの?いいよ、続けて」みたいに、話の最中でいちいち話の腰を折るような、くだらない茶化しを入れてきた。

私は、そのたびに彼女を睨んだ。


そのうち、彼女は何も言わなくなった。
私の語癖に慣れたみたいだった。

私は、遮られることなく話を続けたし、彼女も眼の動きだけで私に「続きを」と促した。




ある日、私と彼女は、某チェーン店のフライドポテト越しに話をしていた気がする。


「私が思うに、彼は、タルタルソースとかピーナツバターが好きそうな雰囲気がある」と、彼女が低い声で言った。


顔を横に向けたまま、目を細めて私を見ていた。ちょっと、意地悪そうな顔をしていた。
かわいかった。

(あ。いま、彼っていった)と思った。

(三人称のほうの彼だ)と思った。



よく覚えてないけど、共通の知人の話をしていたときだった気がする。たぶん、「彼」というのは、クラスメイトの誰かのことだった。

私は、彼のことを知っているので、「クラスメイトの彼は、カロリーを過剰摂取しているんじゃないか」的な最悪の揶揄をしているんだと、わかった。最悪だ。彼女は性格が悪いな、と思った。

私はなんとなく、「あなたは失礼な人だ」みたいな返答をした気がする。

けど、私がどういう返事をしたかは、正直そんなに重要じゃないので、はっきりとは覚えていない。

たぶん楽しかったと思う。



最終的に彼女も、彼/彼女を三人称としてナチュラルに会話に用いるようになった。
彼女との交流は、3年くらい続いた。


今でも、彼女が「彼」「彼女」を三人称として用いていたらいいのに、と思う。

私には自覚できないけど、逆の現象が起こっていたら嬉しい。
彼女の口癖が、知らないうちに私の口癖になってたらいいのに、と思う。

浮雲


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