10月29日(火) 曇り
Best : 1 , Updated: Oct 29, 2024, 10:39:34 AM
この家になぜいるのか。そこまで記憶は戻りました。今では全てが理解できます。
早紀の死から始まった狂気の人生。大勢の人を傷つけ、大切な人も失ってしまいました。
いや、きっかけはもっと前だったのかもしれません。
亮平を刺してしまった時から?インターネットを始めた時から?
いや、兄と共にこの家を出た時から?
あれだけここには二度と戻らないと誓ったのに。運命は皮肉なものです。
不思議と悲しさは感じません。あまりに悲惨なことが多すぎて、悲しみの感情が麻痺してしまったのかもしれません。
自分のせいで兄を・・夫を失ったというのに、涙が出てきません。
私の感情は狂気の人生の中で枯れ果ててしまったんでしょう。
思い出す記憶のほとんどが恐ろしいものであっても全く驚きませんでした。淡々と受け止めています。
私が作ったホームページも今なら冷静に見ることができそうですが、この家にはパソコンがないので諦めました。
子供達にはかわいそうなことをしてしまいました。
私がしっかりしてなかったばっかりに、早紀は死に、亮平は・・
亮平が死んだ記憶はありません。手を振って別れを告げてるところだけです。
今でも生きてるのでしょうか?小田原の家にまだいるのでしょうか?
確認することはできませんが生きていたら無事でいて欲しいものです。
あれだけ家族を不幸にした私には、もう息子に会う権利など無いから。ただ無事を祈るだけです。
亮平と別れるところまではハッキリと思い出したんですが、この家に来てからの記憶がどうもぼやけています。
それまでの狂気とは少し違う。嫌な思い出が詰まったこの家に戻り、私の狂気は加速した。
もはや私は私でなくなり、この身体は別の人のものとなった。
私はその間ずっと暗闇の奥から彼の姿を見つめていました。
彼の行動、彼の感情。全てがわかっていました。
この身を彼に預け、私は奥に引っ込んでしまったんです。
ただ、どうしてもわからないことがまだいくつか残ってます。
なぜ私は正気に戻ったのか?あのまま彼にまかせっきりでも良かったのに。
何か重大なことを忘れている気がします。
彼が求めていた答え。私は知っているはずなのに。
私が身代わりを産み出すのに至った決定的な出来事。何かあったはず。
思い出せない。
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