10月31日(木) 曇り

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彼の行動を思い出して家の中をめぐりました。
父と母は私の行動にはチラっと目をやるだけで何も言ってきませんでした。
まず鏡を見ました。そこに映ってるのは間違いなく私です。
手も足も随分やせ細ってしまいましたが、長年なじんだ私の身体。
外に出ようとしました。もう気持ち悪くはなりません。
ドアを開けて2,3歩出てみても頭痛は襲ってきませんでした。
古い家が建ち並ぶ住宅街は相変わらずで、私の子供の頃とあまり変わっていません。
懐かしさは込み上げてこず、昔を思い出しても悲しい気持ちにもならず、
私にはもう感情が無くなってしまったんだと改めて認識しました。
家の中を歩いても新しい発見はありませんでした。
高熱でうなされる前はほとんどこの部屋でタケシ君と「カウンセリング」をしてた。
今考えるとあれはそんな立派なものでなく、単なる会話でしか有りません。
けどあの人は自分なりに必死に考えてやってくれてたんでした。
幼い私を救うために・・時間がせまってて・・・何の時間が・・・?
思い出しそうになったのにまた引っ込んでしまいました。
突然の腹痛に倒れてからはもう起きあがることすらできなかった。
ペットボトルはまだ布団の横に転がってます。タンスのなかには母が洗濯してくれた服が綺麗に折り畳んであります。
今でこそこうして動き回れますが、あの時はタケシ君が必死に看病してくれてました。
うろたえる母と怒鳴る父にタケシ君は必死に闘ってくれて、私はそれを横で聞いていて・・・
・・・そんな記憶あったでしょうか?
どうも切れ切れとおかしな場面が頭に浮かんできます。
タケシ君は父を殴ろうとした。でも・・・殴り返された・・・?
ペットボトルは母が持ってきてた・・いや・・タケシ君が・・・
意味がわからなくなってきました。
心の奥で私が身代わりと会話した。それはハッキリ覚えてる。
私はどうしても外に出なければならなかったけど、表に出るのは嫌だった。
彼は自分の使命を感じとり、行動に移してくれた。タケシ君と一緒に・・・?
そして機会を狙う前に・・彼は自分の名前を残そうと・・して・・身体が動かなくて・・・
違う・・・自分の名前を残したいと言ったら・・タケシ君が身体を支えてくれて・・・起きあがって・・

私は思わず机の裏を覗き込みました。
そこにはカッターで削られたような古い文字が刻み込まれてました。
「ケンジ」
それを見た時、大量の記憶が一気に頭の中に流れ込んできました。
全てのシーンが繋がって目の前を駆けめぐります。
私のたどった人生が走馬燈の様に・・ああ・・・
蘇ってくる・・・!!

いとしき


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