ハロウィン小説

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Best : 2 , Updated： Oct 31, 2023, 9:59:26 AM

＊一番星になるために＊

「今年のマーチングパレードのドラムメジャーは藍羅」
「藍羅、おめでとう」
「頑張ってください！先輩！」
私たち3年生最後のマーチングパレードの練習が始まる
勇気づけてくれる言葉をかけてくれたのは3ヶ月前の暑い夏の日
この時はとても輝かしいと思っていた
みんなをまとめたりしていくなんて単純に思っていた
でも、、

「藍羅！本番だよ！どうするの」
焦っているバスクラ担当の美香が言う
私だって焦ってるのにと思った
「本番なんて終わったらいいんだよ」
「だよね」
心にもない言葉
本番が終わってしまったら私たちはいない
そして、後輩だけになる
終わってほしくないけど
終わったら楽なのかな
そう考えていたら顧問が
「女子もそろそろ着替えろ」
と言った
「一緒に着替えに行こう」と美香に言われたので一緒に行くことにした

女子の着替えにはかなり時間がかかった
髪をセットしたり
衣装に飾りをつけたり
私には帽子の代わりにツノのカチューシャをつけてきたり
バタバタしていた
着替えが遅かったので
終わってすぐに準備やチューニングを行わなければならなくなった
私はずっと動きを練習していた
「今年は星の魔女をイメージ、か」
ぼそっと呟いた
星にした理由ってなんだろう
演奏曲のイメージとは近くて遠い
顧問が決めるものは意味不明なものが多い
「それにした理由を知ってほしい」って言ってる
私には分からないかも
でも、分かるかもしれない

周りの人たちを見るとみんな仮装している
そうやって思っておる間にも刻々と近づいてくるパレード本番
緊張してしまう私
焦る空気
私たちが感じる最後
これが最後の演奏
最後のパレード
みんなにかかる部長の掛け声
「今まで頑張ってきたんだ」
私たちなら何ができるのか
「俺たちならできる」
答えは簡単
「最高のパレードにしてやるぞ」
楽しんでやっちゃえ

思い切りホイッスルを鳴らす
そして演奏は始まる
トランペットの威勢のいい音
響き渡るリズミカルなドラム
揃っている足音
心地いい
プレッシャーに押しつぶされてもやってやる

練習はこうは上手くいかなかった
なんでこの動きが私にはできないのか
なんで途中で止まってしまうのか
なんで私はドラムメジャーをやっているのか
色々な疑問が頭をよぎった
今でも、なんでドラムメジャーをやっているのかはとても疑問に思う
単純にやりたいだけか
ハロウィンを飾りたいだけか
ただの運命か
何も分からない
そういえば、星の魔女をイメージだよね
星ってこんな動きだっけ
もっとこう動いて
魔法で軽やかに浮かぶようにして

周りの目が私に集まる
あれ、私もしかして星になってる？
なんだか軽くなってきた
私、星になってる
鳴り止まない声にみんなは

『今日のニュースです』
『昨日行われていたパレードで男が銃を発射し1人の女子生徒が死亡した事件は』