馬肥ゆる秋。

小話
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最高ランク : 12 , 更新: 2018/10/11 17:42:09

天高く。


ひんやりと冷たい床を、足裏に感じながら。
暮れてきた空へ筆をとる。

移ろう景色は、いくら詠んでもきりがない。

日の出が随分と遅くなった。
立派な雄鶏の朝鳴きも遅くなった。

春では自信満々に鳴いていたのに。
今や余韻も残さず鳴き終えて、足早に巣に戻る。

完璧な朝と言うには物足りない。
しかし雄鶏からしてみれば迷惑な話だろう。

太陽が出ていなければ、鳥の頭では夜なのだ。
なんで夜なのに鳴かなければならない?
そう思っているはずだ。

それでも合図をすれば鳴くあたりが、自身の役目をよく理解していると思う。


秋の、天の高さ。
早くも落ちた葉が、風に吹かれた。

枯山水の白砂を流れて行く。
川に流されるかのように、サラサラと。
石に引っかかってカサカサと。
しなやかさの無い、乾燥した音を立てていた。

女官が火鉢をつついている。
春はあの後ろを雄鶏が追っていたのだが、寒いからなのか姿は無かった。

さっさと鳴いて、今頃は巣の中だろう。

逆に元気が良いのは馬だ。
肌寒いくらいが丁度良いのか、馬は元気に暮れ時まで馬場にいた。
動けば腹が空くものなので、勿論餌もよく食べる。


天高く馬肥ゆる秋。


暮れ時の高い天には、海を渡るのだろう鳥の群れが飛んでいる。
細筆でちょんと触れるか触れないか、そんな小さな黒い点が南へと飛んで行った。

虫の音が聞こえる。

天の事など知りもしないのだろう。
見えてすらいないかもしれない。

そんな虫の音が聞こえ始めていた。

白の人


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