北風と猫。

小話
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最高ランク : 2 , 更新: 2018/10/22 11:37:56

尾が揺れていた。
窓も揺れていた。

丸い窓ガラスにはモヤがかかり、外の寒さを伝えている。

その窓にピタリと鼻が付きそうな程、猫は窓に張り付いていた。

雪の積もった夜は薄ら明るい。
障子からぼんやりとした光が入ってきて、夜だと言うのに白猫が白く光を受ける。

本が読めるほど、明るい夜だった。
そんな夜を布団で横になって眺めている。

白猫は暖かな部屋から外を眺めて、尾の先をパタリと動かす。
黄色いその瞳はじっとどこかを見ていた。

和室は少し昔に改装されて、所々洋風になった。

丸窓にはガラスがはめ込まれて、しかしそこには生け花が飾られている。
床は畳だ。
だが小テーブルがあって、香の代わりにアロマがちょこんと置かれていた。

和モダンとでも言うのだろう。

北風がカタカタと雨戸を揺らす。
猫の鼻息で窓は白くなっていた。

秋はすぐ北風に追いやられ、あっという間に初雪が降ってきた。
食欲の秋と言うまもなく、だ。

猫が生け花を跨いで、座り直す。
反対側の瞳は薄青色だ。
白猫特有のオッドアイというものだが、とても美しいと思う。

白猫はまた、ひんやりとしているだろう窓にピタリと張り付いた。

北風が一際強く吹く。
丸窓がガタガタと揺れた。

時折考えるのだが。
風はどこから吹き始めるのだろうか。
気圧の関係だと言うのは分かるのだが、それでも想像しにくいので考える。

海の真ん中?
山の天辺?

どこかにあった北風が海を渡って、陸を覆い尽くす程に流れてくる。
ならばその“どこか”は流れていった風の量を埋め合わせるかのように、別のどこかから風を呼び込む。
するとまたどこかの風が減るわけで、補うために風が流れる。

永遠と風は収まらない。

北風が南に流れたら、南は寒くなるのだろうか。
それとも北風が温まるのだろうか。

ガタガタと鳴る窓が嫌になったのだろう、猫がフイと顔をそむけた。


「おいで、寝る時間だよ。」


布団を持ち上げてやると、しゃなりしゃなりと歩いて来て隙間に潜り込む。

冬は猫の温みが良い。
そこに風の音があるとなお良い。

静かになった北風が、カタカタと窓を叩く。

丸くなった猫の体温を感じながら、遠いどこかの風を考えていた。

白の人


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