『ペンギンハイウェイ』について。

読書日記 ペンギンハイウェイ 感想
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森見登美彦さんの『ペンギンハイウェイ』を読みました!


あらすじ
とても賢い小学生のアオヤマ君はいろんな研究を手掛けている。
そんなアオヤマ君の暮らす街に突然ペンギンたちが現れた。
アオヤマ君はこの謎を「ペンギンハイウェイ研究」と名付けて調査をするうちに歯科医院のお姉さんの秘密に迫っていく。
クラスメイトのハマモトさんにお友達のウチダ君、スズキ帝国皇帝スズキくんも巻き込みながらアオヤマ君は謎の真相を探していく。

みたいな話です。


感想
森見登美彦さんの話はどれもさわやかな読後感があってとても好きです。
日本を代表するSF作家としてもっと海外へ押してほしい。
私が翻訳者になったら真っ先にこの話を英語化して海外へ届けたいです。
ではお話について。
僕ことアオヤマ君は自分が大人に負けないほどいろいろなことを知っていると自負する自信家な子なのですが、それを鼻にかけるようなことのしない雰囲気の良い子です。
少しエキセントリックなところはとても魅力的で、怒らないためにおっぱいのことを考えたりしちゃう子です。作中ではアオヤマくんがよく恥じらいもなくおっぱいおっぱい言うんですけど、それを少しあわてたようにいさめるウチダ君がまたかわいい。
また齢10にして合理的さを好み論理的にいじめっ子のスズキ君を論破するさまはとてもかっこよいのです。
文体はアオヤマ君による一人称で、少し背伸びした・・・違うな。
自分はこの話し方をするにふさわしいという自信が見え隠れする・・・違うな。
何と言ったらよいのかわかりませんが、頭がよいといってもまだ子供。
そんな子供らしさが見え隠れするかわいらしい文体で読んでいるとついつい微笑みが漏れてしまうのです。




ここから先、ネタバレ注意。




























私が作中で一番好きなくだりはウチダ君の研究です。
ウチダ君の研究というのは、「死」。
おいおい、小学4年生がテーマにするには重すぎるだろ。

と思ったのですが、このウチダ君の仮説がまたなかなか興味深いのです。
彼曰く、「僕たちが死ぬということはない」のだそうです。
これは説明するのが難しいのですが、簡単に言うと「本人にとっての世界は、しんでるといきてるの世界に分岐していて、私たちは死にそうになると必ず生きてるの世界に行きます。しかし、他の人(私が死んでるの世界の人たちですね)からみると私は死んでいるのです。つまり、誰かが死ぬのを見たとしても、それが本当にその人が死ぬということなのか、私たちには証明できない」ということなのです。
詳しく知りたい人はぜひ本を読んでください。
この考え方の前提として、世界は自分にとって一つだけというものがあるのです。
死んでしまえば世界が続いているかどうか、自分には知りようがないということです。
この考え方は前々から私が考えていたことで、こんな考えをする人がほかにもいるのだなぁと感心しました。
もちろん世界が「しんでる」と「いきてる」に分岐するなんてことまでは考えたことがなかったのでとてもとても感動しました!
ウチダ君すごい!
哲学者ですね!
この考え方、かなり気に入ってしまいました!

あとはアオヤマ君のほのかでかわいくて一途で切ない恋が私の中でキュンキュンでした。

スズキ君もがんばれ!

すでに読んでいる人や、読んでみた人はぜひ声をかけてくださいね。


『ペンギンハイウェイ』読了

お付き合いありがとうございました。

春川


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