読書録vol.3『マリー・アントワネットの日記』

本の虫"見習い"の読書録 読書
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『こいつらはあたしがぺしゃんこになったところを見たがっているのです。ぜって―――――になにがあっても見せてやんねーから!』










お久しぶりです。本日は本屋に行ってまいりました。
目的は三浦しをんさんのエッセイ。先日行った時に1冊買ったんですが、それが! まあ面白くって! 他のも買おうと思って!
なわけで入るなり文庫コーナーへ一直線。目指すは新潮文庫の棚──の前に通り過ぎた、新刊コーナーでディスプレイされていた本が目に入りました。

どうやら上下構成のようです。背景は1冊はピンク、もう1冊は水色の、パステルカラーなストライプ。その中央に描かれているのは、なんかヒラヒラした服を着ているかわいい女の子。

表題は、「マリー・アントワネットの日記」。

いや、なんかもうアレです。ビビっと来たんです。運命感じちゃったんです。

てなわけでとりあえずその本を手に取り、とりあえずあらすじを見ます。

『ハーイ、あたし、マリー・アントワネット。もうすぐ政略結婚する予定www』

これを見た瞬間はちょっと躊躇いました。私は何を隠そう(特に隠してない)「小説内の記号撲滅委員会」の委員長ですから。
……いや、まあそういう表現が嫌いなだけですけど。どこぞのサイトによくある台本書きとか顔文字とかwwwとかゲフンゲフン

しかも、本命もそこそこ楽しみにしてた本。しかし、予算により買えるのは最高2冊。むむむ。むむむ……。




いやまあ、運命感じた時点で負けですよね。
買ってソッコーで読みました。つまらんかったら許さんぞこの野郎、的な感じで。
なんでかって、そりゃあ楽しみなのもありますけど。先日、これと似たような(?)「歴史の話を現代語使いまくってアレンジ」系で地雷踏んだからです。楽しみにした時間が長いほど踏んだ時のダメージはでかい。やり場のない怒りが湧いてくる。





……めちゃくちゃ面白かったというか……こう……マリー大好き……


あらすじだけならめちゃくちゃ簡単。「パンがなければ」のマリー・アントワネットがフランスに王太子妃として嫁ぎ、フランス革命の流れにおいて処刑されるまでを「日記調で」描いた作品です。

マリー・アントワネットといってすぐ思いつくのは「パンがなければ」の名言(?)ですよね。でも近年は再評価の流れが来てる感じがします。関係ないかもしれないけど、FGOのマリーもかわいいですよね。うちにはいないんですが。



ウォッホン!!(咳払い)



なんだか今日は脱線の多い日です。話をもどしましょう。
これまでの創作物で、マリーの人柄としては天真爛漫とか純粋とか、はたまた悪女とかいろんな感じで描かれていると思います。(ちゃんと読んだことないので分かりませんが)
この作品に置けるマリーは天真爛漫……? が近いかなぁと思いますが、ちょっと一概には言えないです。
何故かっていうと、作中でマリーは14歳から37歳にまで成長するんです。そりゃあ性格変わるよねっていう。



10代のマリーは、なんと言おうとすごく可愛いです。
天真爛漫で、ちょっときかん坊で、意地っ張りなところがあって、でもぶりっ子できる程度にはずる賢くて……。見てて「違う、それだとマリーが悪者になっちゃう!」とハラハラします。そうじゃないってば! と本の中に飛び込んで止めたくなるくらいに。まあ、多分そうしてもマリーは聞かないんでしょうけど。


それから、結婚相手である王太子が王になり、本人も王妃となったあとのマリー。
正直、ここはちょっとだけイライラしました。バカ高い料金を請求してくるデザイナーを採用したり、縁故採用しちゃったり、イエスマンばかり周りに置いちゃったり!

──でも、読み進めるうちに気づくのが、決してマリーの主張は間違ってはいないこと。



『「そんな格好をしてたら男ウケ悪くなるよ」って? うるせーバカ! 何を着るかはあたしが決める。だれにも左右されたりしない。この国の女たちもいずれそうなる。世界中の女たちがそうなる。
ファッションで世界は変わる。あたしが変えてみせる』


繰り返すようですが、彼女が享楽に耽り、バカ高いドレス作ったり、変な盛り髪にハマったりしてるシーンは見ててイライラします。
「ねえ、あんたのやってること、めちゃくちゃイタイよ」って。

でも、気づいた瞬間こう思うのです。「──でも、その主張は正しいと思う。てかめちゃくちゃ分かる。痛いくらいに」


そして、大人になった──すなわち、死が刻一刻と近づいてきたときのマリー。
すごくかっこいいです。身につけているものはどんどんみすぼらしくなっていっているであろうに。環境はどんどん惨めになっているであろうに。
本来の歴史では、ここまでマリーはかっこよくないのかもしれません。詳しくないのでわかりませんが。でも、この本の中には、一本筋を通し、背筋をしゃんと伸ばした凛々しいマリーがいます。

そして、ここに来ると、残りページを見ればだんだん終わりに近づいてくるのが終わります。

最後。すなわちマリーの処刑。

……しかしどうしてでしょう、彼女に対して「死なないで」という思いは不思議と湧きませんでした。
さらに、結末まで読んでみると、「この物語は、マリーが死ぬからこそ完結するんだろうな」と当たり前っちゃ当たり前だけど、どこか不思議な心地がしました。


いつもなら私、最後に主人公が死ぬ作品って「ウワァー死なないで死なないで死なないで!
生きて! さすがにこのまま死ぬとか無慈悲すぎませんか! 」くらい高ぶるんですよね。

なんででしょう。……マリーが、後悔せずやることやって死んだからでしょうか。傍から見ても「これがベストだな」って思えるくらいに。



あ、マリーばかり語っておりましたが、脇を固める人物も素敵な方ばかり。オタクにイケメンに美少女にチャラ男にゲス野郎とバリエーション豊富です。
私の推しはルイ16世です。やだー、マリーと同担!


あと、心配した記号問題でしたが、日記調ということで特に気になることもありませんでした。というより、記号のおかげで味が出てたと思います。さすが小説家は違う。苦手じゃなければぜひ読んでみてくださいね。



追記
ベルばらも読んだことないようなクソ浅い知識でマリーやフランス革命について語ってしまい申し訳ありません。これから詳しくなりたいと思います( ˘ω˘)


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