歩き続ければいつか 【短編小説】

小説
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最高ランク : 23 , 更新: 2023/01/25 11:39:06

ビルの壁に、赤ペンで左向きの矢印を描いた。大きく、目立つように。

こんなことをすれば、もちろん公共のなんちゃら罪で捕まる。ただし、警察とかが存在していれば、の話だが。

この世界には、今のところ僕一人しかいない。



荒れ果てた都会の町を、僕はのんびりと歩く。

いつだったかな、朝起きたら誰もいなくなっていた。ついでに、都会の建物とかも廃墟になっていた。

ツタが絡み、割れた窓ガラスに光が反射し、とても綺麗な廃墟だ。

最初は途方にくれていたが、このままでは死んでしまうと、旅を始めた。他に居るかもしれない人間を探して。



僕には、もともと妹と弟が一人ずついた。結構年が離れていて、僕がよく面倒を見た。あの子達は本当にかわいい。

二人のことを思い出すと、寂しさが少しだけ紛れる。懐かしいと笑える。もちろん、その後は虚無感しか感じないが。

まあ、生きてればいつか会えるはずだ。



僕は地理と旅行が好きで、こういう生活は案外すぐ慣れた。新しい景色を見るのは楽しいし、前は行きたかった神社にも行けた。

鳥居は傾き、ツタだらけだったが、それもまた良い。



それにしても、なぜみんな居なくなったのだろうか?

寝てる間にコールドスリープされたのか、みんなが地球を捨て、僕だけ取り残されたのか。

もしくは異空間に飛ばされたか。


わからないなぁ。





日が沈みかけている。

簡易的なテントを作り、倒れないようにして中に入る。携帯食料を夜ご飯にし、荷物の整理をする。

今日の携帯食料はカロリーメイト。ザクザクかじり、その間に道具の点検をした。

ふと外を見ると、空は深い藍色に染まっていた。少し闇も降りている。カロリーメイトを咀嚼しながら、夜空を眺めた。

カロリーメイトの袋を片付け、火を起こした。

「おやすみ~」

寝袋に潜り、明日の朝を待った。




澄んだ空気が満ち足りている。

夜明けと共に起床し、テントと寝袋を片付けた。軽く体操をして、今日一日に備える。

「さぁて、行くかぁ」

赤ペンを取りだし、壁に、大きく左向きの矢印を描いた。

同じところをぐるぐる回らないように。誰かがこれを見て、僕の存在に気づいてもらえるように。







また今日も、歩く。

他に居るかもしれない人間を探して。

くろねこらいふ


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ん~、"皆居なくなった"んじゃなく"君が居なくなった"って
パターンの小説なら読んだことあるなw


しょぅゆ。
2023/01/25 18:42:07 違反報告 リンク


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