飴村乱数の失踪【ヒプマイ小説】

ヒプマイ 小説 二次小説
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最高ランク : 20 , 更新: 2019/03/24 22:30:56

ㅤ分厚い紙の束の最後のページを繰る手を動かす。紡がれた文字を目で追いつつ、時折右手のペンで赤い修正を入れる。問題ない部分をつらつらと軽く流して、物語のピリオドまでもっていけば、ほどよい緊張もほどけて小さく息を吐いた。ペンを置くのと、原稿用紙をそろえるのにわざと少し音を立ててしまうのは、ひと仕事を終えたという満足感からくるものだろう。それもある意味物書きの楽しみの一つであるように感じていて、幻太郎はその瞬間がひそかな楽しみであった。
ㅤ自分の人生にとっては怒涛とも呼べる出来事であるFling Posse結成から一年、幾度かのテリトリーバトルを終え、現在は少しの間の休息期間といったところだった。忙しいときは毎日のように顔を合わせていた乱数と帝統──用事がなくても乱数が遊ぼうと幻太郎と帝統を呼び出すため、忙しくないときも会ってはいた──だが、最近はほとんど連絡もとっていない。この静けさがまるでチーム結成前に戻ったかのように感じるほどだが、今書き上げた話も、彼らと出会っていなければ決して思い浮かぶことはなかったであろうデタラメであることが、そうでないことを強調していた。自分がラップバトルなんて……、そう考えていた時期もあったが、これでまた彼を笑わせることができると思えば、その選択も悪いものではなかったのだろうと乱数が突然押しかけてきたあの日のことをしみじみと思い返した。
ㅤふと、彼らは今どうしているのだろうと疑問が頭に浮かぶ。乱数はまだしも、帝統まで連絡がないとなると、ちゃんと生きているのかどうか少し不安になる。が、まあおそらく持ち前の強運でうまいことやっているのだろう。身ぐるみをはがされては泣いて家に転がり込んでくるようなプライドもへったくれもない奴だし、なぜか幻太郎と乱数とギャンブルをすると決まって負けるような奴だが、その強運は一体どこから湧いてくるのかが全くわからない。最早生きていること自体が強運なのでは、とも思えてくるほどに。ただそれでもチームメイトである、そこらの公園で飢え死にしてもらっても困るので、外出するついでに顔を見に行くかと腰を上げた。乱数のほうは、まあ問題ないだろう。

ㅤヴー、ヴー、と突如部屋の中にバイブ音が響く。机の上で、執筆に集中するためにマナーモードに設定していたスマートフォン端末が細かく振動していた。この鳴り方は──電話か。
端末を取って画面を見る。《有栖川帝統》の文字。
ㅤこれはまたタイムリーな。噂をすれば、というやつかもしれない。
ㅤ金がないから飯を食わせてくれ、か、シンプルに金を貸してくれ、か、もしくはまたパンツ一丁にでもされてしまったか……。いや今度はパンツさえも取り上げられてマイク一つと全裸で街を徘徊していたところを捕らえられて警察署にいるから迎えに来てくれ、かもしれない。そうか、ついにアイツも犯罪者か……。

「えー、只今夢野幻太郎は電波の届かないところにいるか携帯の電源が入っていないかはたまた一度はチャラになった借金を再び負ってしまった哀れな友人を──」
「だれが哀れだ!!!」

ㅤ威勢のいい声が耳に届く。はは、嘘ですよ、と笑えば予想通りの反応が返ってきた。

「っんだよ……まあ、借金の件は悪かったけどよ」
「そうですねぇ、早いところ返済していただけると非常に助かります。ところで、貴方の声を聴くの、なんだか随分久しぶりな気がしますね」
「ホントだな、しばらく会ってねーもんなぁ。……って、こんな呑気に話してる場合じゃなかった!!幻太郎、ちょっとヤバいかもしんねぇ!」

ㅤ焦りだす口調に、さて今度は何がくるかと口元に手をやる。また借金が増えることでなければいいが、それは望み薄だろうか。

「どうしたんです?そんなに焦って」
「大変なんだ!乱数が……!」
「……乱数?」

ㅤ予想外に飛び出したその名に、とてつもなく嫌な予感がした。薄々気が付いていたあの感じが、ついに姿を現したような、悪寒とも何とも言えない一種の恐怖みたいなものが足元を侵食していく感覚を覚えた。
ㅤ飴村乱数には何かがある。そしてその何かとはおそらく、決して良いとはいえないものだ。──幻太郎はそう確信していた。本人が触れるなというのだからそれ以上の深掘りはよしていたが、嘘つきの第六感が告げたそれは、全く気にならないわけではなかったのだ。
ㅤただの杞憂ならいいが……。帝統との電話を終えると、来てくれと頼まれた乱数の事務所へ向かうべく、幻太郎は玄関へと駆けた。





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唐突に投稿してみました、どうもゆくらです。

いかがだったでしょうか?

乱数の謎とは……?ってことでいろいろ捏造しながら冒頭を書いてみました。

思いついたのが冒頭だけなので、どこにオチを持っていけばいいか私にもまっったくわかりません……

感想アドバイス等ありましたらぜひコメント頂ければ泣いて喜びます

ないとは思いますが、無断転載自作発言禁止です

完成したらいずれpixivのほうにうpできたらいいな……

ゆくら


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シブヤの日!!!(大遅刻)
2019/05/02 0:17:40 ゆくら 3 6

ずっとずっと大好きです!!! Fling Posseよ永遠なれ!! あ...


何回目の久しぶりだろう……
2019/04/11 9:57:09 ゆくら 6

はい皆さんお久しぶりでございます(タイトル回収) 新生活やることが多すぎてま...


一人暮らしスタートッ!
2019/04/04 22:06:35 ゆくら 7 10

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