×佐々木琲世 東京喰種:re×暗殺教室 ワンシーン

クロスオーバー 暗殺教室 東京喰種:re
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最高ランク : 80 , 更新: 2016/06/28 7:57:13

こんにちは(。・ω・。)

今回は、琲世と歌廉ちゃんの絡みを書いていきたいと思います(*´▽`*)

最近気づいたのですが、私、戦闘シーン書いたこと無かったです( ・_・;)
練習も兼ねて、今回は書いていきます。




風を、切る。
シャトーの無機質な訓練所の中は、今日も唸るような声をあげていた。


「歌廉ちゃん! こんなものじゃないでしょ!」


台風の時の雲のように乱れる琲世の白い髪。生え代わってきている黒い髪は、きっと台風の目だろう。


「手加減なんて、しなくていい!そんな簡単には壊れない!」


僕も、この部屋もっ!!


「んっ……!」


肩、そして腰付近に力を入れる。
先程から顔をだしていた、襟巻きのような羽赫と九本の鱗赫が、まるで自己主張をするように太く、大きく姿を見せる。


ーー本当に、九尾の狐みたいだ。


輝く満月のような薄い黄色。羽赫は首周り、鱗赫は先端がほんのりと紅葉色をしていた。


彼女の羽赫は羽らしくない。
どちらかと言えば、羽毛だ。
細く、柔そうな首元を暖かく包む、高級な襟巻きのよう。
しかし、金がいくらあっても足りないような神々しさである。そう、それこそ神話にでてきそうな。


「ふっ……フゥーッ」
「赫子を思い切り出すだけで息を切らすな! そんなんじゃ、長く戦えないぞ!」


ピンと張った彼女の鱗赫。ゆっくりと逆立っていく羽毛。緊張の糸が切れるのは、あと数秒もいらない。


「んいっ!」


弾けるように飛んでいく真っ赤な針。
まさに一本一本毛のように細いそれは、目をよく凝らさないと確認できない。


しかし、琲世も立派な指導者(メンター)である。


追ってくるように飛んでくるそれを、避けてはクインケで弾き、また避けてはクインケで弾いていく。彼が手にしているクインケは、最強と謳われる有馬貴将が愛用していた「ユキムラ1/3」だ。


歌廉は彼のその姿に、才子と一緒に観たアニメのキャラクターを思い出す。その人も、飛んでくる矢を刀で見事に捌いていた。


ーーやっぱり琲世先生はすごい。


赤く、そして黒く染まった右目に、白い彼が朝の日差しのようにまぶしく、輝いて見えた。


ーーわたし、もっ!


顎を引き、強く彼を見る。
どんなに速い動きでも、周りの人よりは見慣れている自信があった。


右足にグッと力を入れ、強く床を蹴る。
琲世はまだ、クインケで一陣の針を弾いていた。


わたしの速さなら、きっと死角に入り込めるはず!


ぐるりと旋回して、彼の視野に入らない背中へと移動する。


横を通り過ぎていくとき、琲世の目が大きく見開かれた気がした。


ーーいける。


一回でも、彼の首元を赫子がすり抜ければ、勝ちだ。
彼女は一本の鱗赫を細く、何十本にも分けた。
一本一本の赫子が軽くなるため、スピードが上がる。


「これでっ! 終わりっ!」


強く、金の尾を彼の首筋向けて伸ばした。


ーーつもりだった。


「甘いっ!」


琲世が、一瞬で消えた。
代わりに見えたのは、切られた自分の細い尾だった。


ーーっ!?


この一瞬の思考の停止が、命取り。
既に彼女の首元には、暖かそうな羽毛ではなく、冷たい"死"への軽く、重たい扉がそこにはあった。


「いつ、のまに、クインケが……」
「勝負あり、だね」


クインケを下ろし、ふーっと額の汗を拭う琲世。対照的に、歌廉はハア……と赫子をしまいながら落ちるように腰をおろした。


「また負けた……」
「でも、前より速くなったと思うよ」


外、出ようか。
差し伸べられた手を、彼女は強く握って立ち上がった。


今日は晴れていた。都会の空にだって星はある。ただ、見えていないだけだ。見ようともしないだけだ。


「先生、月、でてる。星も、いっぱい」
「歌廉ちゃん、目、いいもんね」


飲み物持ってくるから、座って待ってて。
琲世は玄関へ戻り、姿を消す。歌廉は頷いて、右に数歩。よく手入れされた芝生に、身を投げた。


大の字になって、身体のすべてを重力に任せる。ああ、今日も疲れたと、ここで一日を振り返ることが、彼女は大好きだった。


「……星って、なんで落ちてこないの?」


額に腕を乗せながら、彼女は問うた。もちろん、返事なんて返って来やしないけれど。
それでも、彼女にとっては「不思議」と思えることがなによりも嬉しかった。


ーー生きていると、実感できるから。
ーー明日が、楽しみになるから。


先生、星の本持ってないかな。
聞いて、みよう。


ちょうど、ドアの開く音がする。
上半身を起こすと、そこには案の定、カップをふたつ持った琲世が立っていた。


「今日もやってるの?」
「うん。ねえ先生」


星の本、持ってる?
都会の空にも負けない一等星のような丸い目に、ゆっくりと腰を下ろした琲世が映った。


「持ってるよ。明日、貸そうか」
「うん」


「はい」そう言って渡された白いカップの中には、氷が浮かぶアイスコーヒー。
今、夜だよ……? と彼の顔をじっと見つめる。
しかし彼は、「待ってました」とでも言うように笑うばかり。


それが不服で、彼女はぷくりと頬を膨らませた。


「コーヒーには、なにが入ってる?」
「カフェイン」


「カフェインの効果は?」
「眠気を飛ばす」


うん、正解。相も変わらず笑顔の琲世。まだ内側に隠しているものがあるようだ。


「もったい、ぶらないで」


ピシッと軽く腕をひっぱたく歌廉。
コーヒーは零れなかったが、代わりに琲世の笑顔が零れた。


「筋肉の疲労回復にもいいんだ。カフェインって」


だから、飲みな?


どこか、心の落ち着く彼の笑顔。
ジーッと手の中で揺れる黒い水面をみる。


そこには、幼い子のようにぷっくりと不満気に頬を膨らませた自分の顔があった。


ーーなんか、なあ。


勢いよくカップを口へ運び、コーヒーを一気飲みする。
そして草の上に空になったカップを置くと、そのまま上半身を琲世の方へ倒した。


「ん」
「どうしたの、急に」


彼の太ももに頭を乗せる。そのままぐるりと身体を回し、最終的には顎を太ももに乗せることで、落ち着いた。


「疲れた」
「うん、頑張ったよ」


ゆっくりとコーヒーを口へ運ぶ琲世を邪魔するように、「ん゛ー」と唸ってやる歌廉。


それをどう受け取ったのかは定かではないが、琲世は観念したように一度カップを置き、頭をゆっくりと撫でた。


「もう……小さい子みたいだよ?」


彼女のクセのあるやや長い黒髪を、とかすように撫でていく。
街中の電灯に反射する髪の上に、いくつか天の川が流れていた。


「わたしが小さいんじゃないもん」


ーー先生が大きすぎるの。


「……そっか」


優しい声は、夜の闇に溶けていく。
たとえ街がいくら明るくても、それらは彼らを照らせない。


照らせるのは、何億年も前からの光で彼らを見守る、星たちだけなのだから。





fin.



See you again!

三弦


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つながりたい
2016/11/30 7:23:58 三弦 5

ずっと今まで音沙汰なかったくせに何の話だ。というのは隅っこに置いておいてくだ...


久々だ!暑いね!……ほんとまじでごめんなさい。
2016/08/21 5:00:47 三弦

久し振りに顔をだしました。三弦です。 しばらくこれなくて申し訳ないです。...


×片岡メグ 東京喰種:re×暗殺教室 ワンシーン
2016/07/02 7:15:50 三弦 1

こんにちは。暑いですね。お身体、崩されてはいませんか? 今回はメグちゃん...



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