▽ 深夜と猫とバレンタイン。【夢小説アリ】

バレンタイン おそ松さん らぁこ
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最高ランク : 4 , 更新: 2016/02/13 3:31:40


この記事には松野一松との夢小説が含まれています。苦手な方はブラウザバックを。








□□□




コンビニのバイトをしていると人間観察を自然としてしまう。例えば、このサラリーマンには低学年の息子がいるんだなとか、この女性は独身だなとか。購入した商品や時間帯、服装でなんとなく予想してしまうのだ。だから、彼の印象も最初は「ただのニート」だった。


紫のパーカーに緩いジャージ、マスクを常に着けていて髪の毛は寝癖のまんま。買う時間は昼夜バラバラ、だけど決まって猫の餌を買う。どこをどう取ってもニートな彼に興味を持ち始めたのがいつだったのかさっぱり覚えていないが、きっと少しづつ興味が膨らんだに違いない。彼の事をもっと知りたい、そんな気持ちが募っていたに違いない。

だからあの日、つい声を掛けてしまった。



「猫、お好きなんですか?」

「…は?」

「ほ、ほら、いつも猫の餌をお買い上げ頂いて」

「…まぁ、人間よりは」

「…そうなんですね」



沈黙の中で精算をし終える。重たい空気を切り裂くようにピロンピロンとドアが開く音がした。紫色の背中を見送る。会話短かったなあ。そりゃそうか、ただの店員と客だもの。好反応とは思えない会話、でも更に彼への興味は膨らんだ。名前は?何故いつも紫色?人間が苦手なの?過去に何かあったの?頭の中がクエスチョンマークでいっぱいで、彼の事でいっぱいで。これが恋なのか好奇心なのか区別はつかないが、彼の事をもっと知りたいと思う気持ちだけははっきりと分かった。








急にシフトが入って初めて分かったが冬の深夜はあまりお客様が来ない。こんなに寒いのだ、誰も外になど出たくないんだろう。私だって出来ることなら家に帰ってコタツで丸まりたい。昔飼っていたふてぶてしいトラ猫のように。猫で思い出すあの紫のお兄さん。話しかけた日から1週間経つが、あの日以来1度も見かけていない。自分は彼の踏み込んではいけない域に足を踏み入れてしまったのだろうか。店員と客、ただそれだけの関係を私が壊してしまったのだろうか。そう思うと酷く胸が締め付けられるような、喉がきゅっと閉じるような、いつか忘れてしまった懐かしい感覚が襲う。



恋なんて何年ぶりだっけ?



自動ドアの向こう側にふと目をやると、1匹の三毛猫がちょこんと座っていた。ドア越しながらも真っ直ぐ私を見つめるその目は「構ってくれ」とねだっている様に見える。しばらくお客様も来ないだろう。虚しく蛍光灯が光る空っぽの店を残して外へ出た。


「やっぱ寒っ!」


よく耐えられるな、なんて思いながら三毛猫の目線の高さに合わせる。しゃがむと寒さは幾分かマシになった。ほんの少しだけだが。

遊べるような雑草は無いか辺りを見渡していると、猫の方から「早くしてくれ」と催促のすりすり攻撃。分かった分かった、分かったからそう焦るなって。縁石と地面の隙間から生えていたひょろっとした細長い雑草を拝借して、猫の頭上でぴょんぴょんと跳ねさせる。最初は目線で追っていたが、次第に手が伸び始め、とうとう体全体を使って飛びかかろうとする。こうなるとしゃがんではいられないが、立つとやはり寒い。手も段々とかじかんできた時だった。


「…何してんの」

「え?」


紫のパーカーが真っ先に目に入る。まさかこんな真夜中に会うなんて。


「猫と遊んでたんです」

「そんなの見ればわかる」

「デスヨネ」


「……何でこの時間帯にいるの」

「えっ?いや急にシフトが……」



チッ。盛大な舌打ちが駐車場に響く。やはり会いたくなかったんだろうか。嫌われるスピード早すぎかよ、私。失恋最速記録更新じゃん。あの時のような苦しさではない別の苦しさが胸を締め付ける。もうこの場から消えたい。今日はやけ食いしよう。そうやって今までも乗り切ったじゃないか。うん、そうしよう。


「私レジに戻りますね」



お兄さんの顔なんて見られる訳もなく、冷えきった自分の頬をパン!と両手で叩き気持ちを切り替える。痛さか悲しさか涙が零れそうになるが、上を向いて引っ込ませて無理矢理口角をあげると少しは感情をどこか遠くへ置けた気がした。



温もりを感じない白い蛍光灯。外との温度差で肌がピリピリする。いつもの定位置について彼の商品選びを待つ。猫背姿でお菓子をじっくりと選ぶ彼、甘いもの好きなんだ。もうこの恋は終わらせるのに、終わってしまうのに、知りたいという気持ちは言うことを聞いてくれないから困ってしまう。

冷凍庫が低く唸る。しゃがんで商品を物色していた彼がすくりと立ち上がった。やっと商品が決まったようだ。片手をポケットに突っ込み、もう片方の手には可愛らしいお菓子、商品をポンとレジ代に置く彼。このお菓子の為だけにこんな夜中に来るなんてやっぱり変わった人だなあ。そう思いながら会計を済ませる。


「ありがとうございました」


きっと本人には伝わらないけれどいろんな想いを込めて深々と一礼し顔を上げると、ほんのり顔が赤いお兄さんがまだ立っていた。


「えっと……何かございましたでしょうか?」

「……ん、これ」


さっき買ったばかりの可愛らしいパッケージのお菓子が入ったレジ袋を渡される。どういう事だ?返品を強いる嫌がらせか?


「今日、バレンタインだから、それ」

そうか今日はもうバレンタインか。1年間あっという間だな。……って、え?


「…ん。何、最初に話しかけてきたのはそっちでしょ。あげる。あんた、猫好きそうだし。あんたにもうあげるものなんてないから。じゃあね」


そうぶっきらぼうに早口で言葉を残して足早に去ってしまった彼。え、うそ。ちょ、待って。帰り際にチラリと見えた真っ赤な耳に私の体温も急上昇する。頬が、手が、体が季節外れみたいに熱くて熱くてしょうがない。夢なんじゃないかと疑うが、右手にぶら下がっているビニール袋がその説を否定する。現実なんだ。確かに彼からチョコを貰ったのだ。ビニール袋が擦れる音にこんな幸せを感じるなんて。


「これは、ちょっと脈ある……よね?」


破裂しそうな心臓を左手で抑えて、まだ店前に座っている三毛猫ににやけ顔を向けて、真夜中のコンビニでそっと呟いた。


「君のおかげ、ありがとう」

「ニャァオ」


お礼は猫缶でいいぞと少し上から目線な返事が返ってきたような気がした。





□□□




やっほ。お久しぶり。小説書き終わるのに1ヶ月かかったらぁこ.と申します。


おそ松さんの夢小説はこれが最初で最後ですきっと。大変でした……。書いてはいませんが、主人公は大学生設定です。一松はコンビニに通う度に主人公の事が気になっていたのですが、話し掛けられ自分とは釣り合わないと悩み避け続けて、でも猫と戯れる彼女にたまたま遭遇して1歩踏み出す事を決意した、とそんな感じです。最後の一松のセリフはのってぃさんに添削して頂きました!ありがとうございます«٩(*´ ꒳ `*)۶»


小説の内容に合わせて今日の夜中に投稿する予定だったのですが、今日インフルエンザにかかりまして。1度40℃超えになって今は下がってきたのですがヘトヘトです……。語彙力が失われてる気がする(元から無い)


しかし、1ヶ月かけて書いたものですからバレンタイン前に投稿したい!という思いが怠さに勝ちました。やったね!()


インフルエンザがすごく流行っているそうなので、私みたいにならないように皆様はお気をつけ下さい( ˘ω˘ )




最近はずっとアイドリッシュセブンというゲームに没頭してます。Androidの方は対応機種かそうでないか分かれますが、iPhoneの方は出来ると思いますので是非!!

いつかULOGでアイナナについて語れる日を楽しみにしております。



それでは、早くインフルエンザが治るように安静にしてたいと思います。少し早めの……


Happy Valentine!

らぁこ.


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らぁちゃん久しぶり!
一松可愛い...
ごちそうさまでしたm(_ _)m


すずめ
2016/02/13 4:02:18 違反報告 リンク


い、一松ぅうっ…!!
画面の前でニヤケが止まらないです、ありがとうございます


ひなせ
2016/02/13 5:01:20 違反報告 リンク


らぁちゃん、インフル大丈夫かあああ?
あっ寧衣です香月です変な人じゃないですはい

お大事にね!


彩音
2016/02/13 21:37:08 違反報告 リンク


あぁ、もう!!!
冒頭から私のハートは
一松に持ってかれてたよチクショウ()
らぁーちゃんの書く小説全部好きです(˘ω˘)

インフルエンザ早く治りますように!
お大事にね。


くーぴー
2016/02/14 0:39:50 違反報告 リンク


なーさん>>
お久しぶり!
なんとか一松になってて良かった!笑


忍銀さん>>
バレンタインに間に合って良かったです(*ˊ˘ˋ*)


寧衣ちゃん>>
インフル治ってきてます~!ありがとう(っ˘ω˘c )


くぴみん>>
わばばばば、お褒めいただき光栄です本当励みになる(´;ω;`)
ありがとう!安静にしてます!


らぁこ.
2016/02/17 5:09:47 違反報告 リンク


それならよかった…!
私たちも学級閉鎖しました (大汗) ピークは去って行ってるかな?


彩音
2016/02/17 5:41:13 違反報告 リンク


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