白【原作:月鏡様】
月鏡 立野真 短編最高ランク : 51 , 更新: 2015/05/09 11:11:52
素敵な原作様はこちら↓
http://ulog.u.nosv.org/item/tukikagami0/1431161327
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本当は、ずっと前から気がついていた。
「…小豆、好きだよ」
耳元で、そう囁かれた。
抱き締められたときに、ふと、知らない香水の匂いがした。女の人らしい、薔薇の香りが。
思えば、これが始まりだったんだっけ。
次の日も、また次の日も、
知らない匂いが君を包み込んでいて、
廊下で君に手を振っている女の人から、
同じ匂いが漂っている。
「(……綺麗だなぁ)」
その全員が、超がつくほどの美人で、
君ってすっごいもててたんだよなー、
って思い出して、また少し胸がチクリと痛んだ。
あの人達__蓮くんの浮気相手さん達に比べて、私は本当にすっぽんのようなものだ。浮気されて、当然なのかもしれない。
そうだ、選ばれたこと自体が奇跡なんだ。
私なんかが、蓮くんに「好きだよ」なんて言われること自体が、夢みたいなものなんだ。
だから、彼氏彼女なんて、そんなものは、もしかしたら私の幻想で、本当は「あっち」が現実、なのかもしれない。
そうだったら、楽なんだろう。
「……蓮くん」
「ごめん、ちょっと我慢できない」
唇に触れる感触は、私達の関係に現実味を帯びさせる。
蓮くんは時折、何かに縋るように私にキスを求める。その瞬間が、前まではすごく幸せだったのに、今ではすごく苦しくなる。
こんな綺麗な唇、私には相応しくない。
そうだ、この前見た__あの、色っぽい女の人。あの人とキス、してるの見たときに、私は悲しくならなかった。
ああ、やっぱりか、なんて。
そんな風に思ってしまって、すごく蓮くんに申し訳なくなった。
そんな風に思ってしまったなんて、なんだか私を「好き」だと言ってくれる蓮くんを裏切ったような気がして。
「……蓮くん、蓮くん」
「なんだ?小豆」
けど、けど。
もう嫌なんだよ。
本当は、ずっと前から気がついていた。
それでも、見て見ぬ振りをして、
今まで、彼氏彼女を続けてきた。
今日は、もう我慢がきかなくなったんだ。
堂々と廊下で抱き締めあってる、蓮くんと綺麗な女の人。
浮気だ、なんて騒がれていたけれど、そんなものはどうでもよくて。
ただ、悲しかった。
「…ごめんね、蓮くん」
「小豆、いきりどうし」
蓮くん、もう幸せになって良いんだよ。
「私達…別れ」
そこまで言って、口をぐっとつぐむ。
『俺、小豆のことが好きなんだ』
頬をほんのり赤く染めて、
『俺と、付き合ってくれないか!?』
ちょっとだけ声が裏返っていて、
『絶対、幸せにするから』
最後には、何よりも綺麗な笑顔を見せてくれた。
「…嬉しかったの」
好きって言ってくれたことも、
抱き締めてくれたことも、
キスしてくれたことも、
「全部…全部っ!」
大好きなの。
嫌いになんて、なれないの。
私だけの、蓮くんでいてほしいの。
「だからっ、もっとっ…!!
君と一緒にいたいと思っちゃうの……!!」
流れ落ちる雫にぼやけて、
少しだけ歪んだ君の顔は、
酷く、歪んでいるような気がした。
.
さっすが( ´・∀・`)b
いいよね、ドロドロ
そして最後のどんでん返しも好きよ(
月鏡R
2015/05/09 11:44:55 違反報告 リンク
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