【スク松さん】体育祭のお話。

【スク松さん体育祭】

わんくっしょぉぉぉおん!!　　※妄想錯乱状態です。あと、ダンボール戦車ちゃんと弥生ぴこちゃんとアリアちゃん、一ノ瀬さん、ひそちゃんと時雨ちゃんしか出演しておりません！誠に申し訳ありません。

体育祭一松目●整列前のスク松さん



｢ふあーあ……｣

ゆる松はあくびをして、口の端をきゅっと結んだ。
校庭に集う生徒達、鳴らされる合図。今日は待ちに待った体育祭の日である。

＿＿有松ちゃんどっこかなー

列からはぐれ、探してみたものの結局見つからないのでもう戻ることは放棄して、B組の''有ちゃん''こと有松を探すことにした。
ト ト子先生ファンクラブの有松ちゃん専属ハチマキ結び係の彼女としては、行事では腕が鳴る。

あらかじめ有松から預かっていたハチマキをきゅっと握りしめると、ゆる松の背後から声がかかった。

｢……あっ、ダーリンやん｣

勢いよく後ろを振り向くと、まだ眠そうな''せんちゃん''ことゆる松愛しのせん松がいた。
｢あー、寝たい…。｣と、そんないつもと変わらぬ彼女に反射的に飛びつく。

｢せんっちゃんっっっ!!｣
｢ゆる松ちゃん、痛いわアイス買ってきて｣
｢ごめん、あとさすがに今は無理じゃないッスか姐御？？｣

せん松の無茶ぶりにさすがに片手を少し上げてゆる松は言うと、せん松はせやな、と言って薄く笑った。

不覚にもきゅんとして胸を撃たれたゆる松だったが、少しよろめいた体勢を元に戻してまた人混みを見渡し始めた。

｢何してんの？｣

と問いかけるせん松に事情を話すと、理解した彼女はバッグからスマホを取り出した。

＿＿なるほど、その手があったか。

一人納得して彼女の手元にあるスマホの画面を覗き込む。
すると、突然バイブレーションと共に軽快な着メロが流れ出した。
見てみると、発信者はひそ松だ。

『あ、るしゃ松ー？』
｢るしゃ松って何？｣

突然るしゃ松、という聞き慣れない単語が聞こえてきて思わずゆる松はせん松を凝視した。
そして横から耳をすましていると、いつものひそ松の気だるげな声と、聞き覚えのある元気な声が混ざって聞こえてくる。

うぇぇぇい、だのデリバリーコントしよ！だのかなりテンションが高い。これは茶番松の相方、ぴこ松と見た。ゆる松はそう確信した。

｢どしたの？｣
『うん実は有松ちゃんが……』

本題について話していた二人の会話は後半ほぼ聞いておらず、ゆる松の視線は全く反対に向いていた。
視力の悪い彼女は何度か目を細めて凝らした。

そして、その先にいた人物と目が合う。

｢『あ』｣

せん松は端末から聞こえてきた声と、隣にいたゆる松の声が一瞬重なり、驚いてゆる松の向こう側を見た。

｢ぴっころ松ー！｣
｢ゆも松ー！｣

そこには、ひしと抱き合う二人の姿があった。
訳も分からず目をぱちくりさせると、隣にはひそ松がモコモコと防寒具を装備して立っていた。

｢るしゃ松、早いとこ見つかってよかったー｣
｢んー私も探してたからよかった｣

ほのぼのしている彼女らの向かいでは、既に有松とも合流したゆる松がハチマキを彼女の頭に巻き付けていた。

｢ゆる松ちゃんやっぱり慣れてきたね、全然痛くない！｣
｢ほんと!?最初は髪の毛巻き込んでたもんね｣

今では笑い話だ、なんてゆる松が笑うと有松は真顔になって目線を下へ向ける。

｢や、アレ本気でハゲるんじゃないかって思ってた｣
｢有ちゃんなんかすんごいごめん!!?｣

限りなく負のオーラを発する有松にゆる松は衝撃を受けたのであった。

＿＿よし

きゅ、と素早くハチマキを結ぶと、彼女らの目の前に疾風の如くやってきたのは、しぐ松。

急ブレーキをかけて目の前に止まると、彼女の隣にはセト松が居たことに気付いた。(二人とも速すぎて目視できない)

｢ゆる松ーっここに居た！トド松先生が早く来いって｣
｢……わあお｣
｢ついでにせん松とひめは戻って来いって｣
｢｢……んんー｣｣

告げられたあまり聞きたくなかったセト松達の報告に三人とも苦い顔をすると、諦めて解散することにした。
生徒達それぞれが並びながら雑談をした後、それは沈黙へと変わる。

今開会式が、始まる。
＿＿いや、

教員と生徒とその他大勢による体育祭が、
今この瞬間から既に始まっているのだ。

宣誓の言葉を聞きながら、ある生徒は絵を描き、ある生徒はコォヒィ牛乳を飲み、ある生徒は猫耳を付けて意を決した。