カイザー日記 6/2 晴れ

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僕はこの日を一生忘れない。

「渡部さん」の「ご褒美」は僕のくだらない妄想が現実となったものだった。
待ち合わせして、彼女の家へ。部屋に案内された。
部屋に着くと彼女はこう言った。「ここが、私の終着地。」
その後に詳しい説明は一切無かった。ただ一言、「ご褒美」と言って彼女は部屋の電気を消した。
真っ暗になった。服を脱ぐ音がした。何が起ころうとしてるのか・・・・そんなの分かり切った事だった。
僕の顔は真っ赤なってたと思う。心臓の音が部屋に響きそうになるくらいに音を立てた。
真っ暗な空間に彼女の身体の輪郭が浮かび上がった。顔の表情はうまく見えなかった。
でも、笑ってたと思う。
僕も服を脱ぐべきだと思った。ボタンを外すてが震えてた。死ぬほど緊張してた。
頭の中は真っ白になってた。いつものくだらない妄想なんかどっかいってしまった。
手が冷たくなってた。冷たいままじゃダメだ、と思った。暗闇の中で手をこすりあわせた。
まだ服も全部脱いでなかった。脱いだ服はどこに置いとけばいいんだろう。そんな事を考えてた。
彼女が僕の手を握った。僕の手はまだ冷たいままだった。彼女の手はとても温かかった。
裸の女性が目の前にいる。そう考えただけで僕はどうしていいのかわからなくなった。
男としてどうするべきか?立ったままじゃダメだ。押し倒す?僕が?どうやって?いつ?今?
彼女の唇が僕の唇に重なった。
次は?腕は?抱きしめるべきか?唇を離すタイミングは?何か言うべきか?いい匂い?変態だ!
トランクスは?まだ履いたままだ!いいのか?ここで脱ぐ?恥ずかしい!彼女は?下着は?
真っ暗で見えない!触れてみる?身体に?彼女の身体に?冷たい手で?大丈夫なのか?
ああ!渡部さんが唇を離した!どうしよう。これからどうしよう!嫌われた?これで終わり?
腕が!渡部さんの手が僕の背中に!これって、これってもしかして、抱きしめられてる?
いいのかそれで!男だろ!こっちから抱きしめなきゃいけなかったんだ!でも相手は年上だし。
渡部さんいい匂い。そんな事考えてる場合じゃない!僕がやるべきことは?イイ香り。
もういい。もうどうにとなれ。いい匂い。渡部さん。渡部さん・・・・・!
それからの事はうまく覚えてない。とにかく必死だった。恥をかきませんように、と祈ってた。
もちろん僕は初めてだった。

終わったあと、僕は寝転がったままボォっとしてた。部屋の電気は消えたままだった。
大人になった実感は沸いてこなかった。夢中だったから。長かったような、短かったような。
まだ信じられなかった。僕がなんでこんな経験をできるのか。ちょっと前まで、普通の中学生でしかなかったのに。
横で寝てる彼女は寝てなかった。何か考え事をしてるみたいだった。真っ暗でもそれだけはわかった。
僕はまた自分の事を考えた。ネットの事。カイザー・ソゼ。ロロ・トマシ。処刑人。sakky。ああ、あとアレか。
それに、岩本家との不思議な縁。亮平さん。そうだ、亮平さんはまだあんな状態で病院に・・・・
僕だけこんなイイ思いしてていいんだろうか。急にそんな考えが沸いてきた。
今もなお狂ったままの亮平さん。死んでしまった早紀さん。岩本先生と渚さんだって苦しんでるに違いない。
僕だけが幸せ。そんな事許されない・・・・・。
「渡部さん」と彼女に話しかけた。彼女の顔がこっちに向いたのが分かった。
「何?」と答えてくれた。僕と顔が向かい合った。
あの・・・・僕だけその・・・こんな・・・・・・・なんて言うか・・・・イイ思いをしていいのかなって思って・・・。
渡部さんは優しく微笑んでくれた。
「いいのよ。『ご褒美』なんだから。」
でも・・・・亮平さんは今もあのままで・・・・・早紀さんも死んじゃって・・・・・・
「待って」と言って彼女は僕に顔を少し近づけてきた。
「誰が『早紀さんは死んだ』って言った?」
え?と僕は拍子抜けした声を上げた。生きてるんですか?
彼女はクスクスと笑った。
「メールには『早紀さんは生きてる』って書いたはずだけど。」
え?あ、そう言えば・・・・そうでした・・・・。
僕の中ではすっかり死んだことになってた。そうだ。確かに誰も『早紀さんは死んだ』とは言ってない。
生きてる・・・・・早紀さんは生きてる・・・・・・・・・・・・え?じゃぁ、じゃぁ・・・・・
僕の中で疑問が膨らみ始めた。生きてる。なら、
何処に?生きてるんなら、早紀さんは今どこにいるんですか?
またクスクスという笑い声。
「バカね。」と言って彼女は僕の口に指を当ててきた。
「私を救って欲しかったって言ったでしょ?」
さっきより長くクスクスと笑い、「バカね」ともう一度呟いた。

そして彼女は言った。






















































私が早紀よ






















































早紀さんのお腹に手を当てると、傷跡の感触があった。

いとしき


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