虫の日記 2月1日(木) 晴れ

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最高ランク : 16 , 更新: 2024/02/01 6:52:01

3人が戻ってきた。
ガイキチ女はノートパソコン持たせてたので大人しかったらしい。
帰ってきてすぐは少し騒々しかった。
家にヤツがいるとでも思ったのらしく、ピィピィ騒いでた。
祖母が抱えてる白い風呂敷に包まれた箱の中に、探し人はいるのに。
出かけたのも、何をしてきたのかなんて理解してないだろう。
祖父も箱を抱えてた。それが誰なのか、直感で分かった。
早紀。
白い風呂敷に包まれた箱が二つ。なんともあっけなく収まったモンだ。
すぐにでも墓に入れるらしい。家に置いておこうなんて発想は無い。
あの偽善者どもは、世間と同じ事をするのが幸せだと思ってやがる。
早紀が墓に入るのを望んでると思うか?
望むわけない。早紀が望んでるのは、僕と一緒にいることだ。
骨は僕のベッドに置いておくべきだ。毎晩一緒に寝てあげる。
僕がその事を提案すると、奴等は必死に反対した。
「普通はお墓にいれてあげるものだから」
普通じゃない死に方をしても、普通に葬るのが幸せだと言う。
愚かだ。
結局ここでも僕は引き下がった。

二つの箱。見てると変な気分になる。
早紀の肉体を失った時、散々泣いたから今更涙は出てこない。
しかしもう片方・・・ヤツは、先週まで生きていた。
動いてたし、話もした。肉もあった。
なのに今ではこんな・・・
そう思うと、急激に恐ろしい感情に襲われた。
それが何だか分かってる。でも僕は認めなかった。
気を抜くと涙が出そうになる。こらえた。必死にこらえた。
認めない。僕が、そんな事を思うなんて、認めない。
溢れそうになるのを押さえ、違うモノでどんどん上塗りしていった。
渡部さん渡部さん渡部さん渡部さんのことを考えよう渡部さんをどうするか考えよう
渡部さんでアタマを染めると、急激に楽になった。
落ち着いた。収まると、もうカケラも変な感情は出てこなかった。
普段と同じ僕に戻ってた。
いつもの僕。早紀と戯れてた僕。渡部さんを陵辱する僕。ケケケ
変態な僕。

明日は渡部さんの家に電話しようと思う。
ただ電話するだけじゃツマラナイ。ちょっと趣向を懲らそう。
どうせ始めに出るのは親だから、「普通」なのを。
クラス会のお誘いなんてどうだろう。
ある意味クラス会でもある。二人っきりの、同窓会。
同じクラスだった頃の記憶がないのが悔しい。
さぞかし楽しいクラス会になるだろう。
誘いに乗ってくれるかな?ケケケ。強制同窓会。
嫌でも行ってあげる。
残った二人で、愉しもう。

ラストダンスを踊ろうよ。

いとしき


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