嘘付キ＃５「此所に来てはいけない。」

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最高ランク : 16 , 更新： 2021/02/18 7:57:53

『其方は晴れですよね？』、「貴方は泣いている様ですが。」
どうも。嘘吐き天川です。

みんな、テストの結果どうだった？
なんて、聞かれるとむしゃくしゃする人も中には居るんだろうな。

すまんな。

いや、どうしてこんなこと聞くのかって言うとまぁ
今回話そうと思っている話に関係があってさ。

ま、気になるならゆっくりしていけばいいよ。

＿＿＿＿＿＿＿
「んあ。此所何処だ？」

空は稜威までも赤黒く染め上げるほどに禍々しい色を纏っている
この『閼伽ノ嘘着キ』。

そりゃあ、そんな反応にもなるだろう。

今回の訪問者は、見た感じ中学生の男子。

「もしかして、死に際の夢？やべーｗ」

あーあ、此奴も死にたいとか思ってる奴かよ。
そう思った俺はそっぽ向いて無視しようとした。なのに。

「なぁ、にいちゃん。俺の話聞いてくれない？」

足を動かす前に、それを察したのか少年は俺を引き留めた。

年が近そうに見えたからなのか、嫌な思いはしなかった。
俺は、視線を地面に落とし座った。

声はまだ出さない。

それでも、
俺の精一杯の『話してみろ』に、応えるように少年は隣に座った。

「実は、俺、この間テストがあってさ。
自分的にはとてつもなく頑張ったんだけど結果はボロクソ。
ま、頑張ったなんていくらでも言える。そう言われちまった。
やっぱ、素直に聞き入れられ無くて。捻くれてるのかな。

悔しくて悔しくて。

親からも煽られたり、その所為でやる気は急降下。

俺、この胸の苦しさに耐えられなくて、死にたいんだ。大嫌いだ。
もう頑張りたいなんて思わねーよ。思えねーよ。
どんなアドバイスも素直に受け入れられない。

ホントは、このテストで良い点取れたらスマホ貰えるかもなんて言い聞かせてちょびちょびやってたんだ。
今となっては、無意味だった事を･･･な。

なぁ、にいちゃんはどう思う？俺が死んで幸せになる事を。」

そうか。

『あまり推奨できないな。それは。

お前は頑張ったんだろ？
お前の頑張りはお前にしか分かんない。

お前が捻くれ者なら、それでいい。

いつかとびきり良い点取ったときに
褒めてきた親共にむしゃくしゃするんなら、それでいい。

ガン無視して、とことん嫌いになれ。いつか成長できるんだから。
それまでは、とことん子供でいろ。

お疲れ様。次も頑張れ。』

親近感が湧く少年。
俺に話すって事は心の何処かでちゃんと言って欲しかったのだろう。

それがどんなに、
最後に残った形の無い無責任な言葉だったとしても。

「そっか･･･。ふふ、ありがとなにいちゃん。

此所、良いとこだな。
なぁ、にいちゃん今度は満点のテスト持ってきて此所にばら撒いてやるからよ！それまで待っててくれよな！！！！」

そんな俺の言葉に鼻の頭も耳も真っ赤にした少年は
そう言って笑った。

『あぁ、待ってる。』

そんな少年を悲しませたくなかったのか、
今は分からなくなってしまったけど。

俺は、また嘘を吐いた。
＿＿＿＿＿＿＿

そう言えば、俺のffさん。
『冬さん』が消えてたな。やっぱ、人が減るのは寂しいもんだ。

＿＿＿＿おやすみ。また会えると良いね。

それじゃ、
『明日は晴れるでしょうか』「はい。絶対に。」