黯然銷魂【観覧注意】

創作 小説
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目の前に見えるのは赤い炎
周りにある全ての物を包みこんでいる

熱い風が吹く中、その風に乗ってくる人が燃える匂い
その鼻を突く匂いに思わず顔をしかめる


・・・何回嗅いでも慣れない匂いだ



この匂いを嗅いだのは一度や二度ではない
3日前にも嗅いだ匂いだ
それは仕事上仕方ないことだとは思っている

だがしかし、仕方ないと思えどその匂いに慣れるわけではない。


「やっぱり、燃やすよりグチャグチャに刺し殺した方が良かったんじゃない?その方がボクも楽しかったし」

自分の右側に立つ幼い容姿の彼はつまらなさそうに呟く

幼くも暗殺者となった彼はかなり狂っているだろう
彼が言うには死体は愛すものだと言う
その死体が原型を留めていても、いなくても、彼は目の前の死体を愛しい、そして狂気が渦巻いた瞳で見つめる

僕には難しいので分からない、だけど彼は良いという。十人十色というやつだろう

今回の仕事はいたって簡単な仕事だった
それをボスは知っていたのだろう
今回はヴァイザーさん無しの仕事だ

「ねぇ、聞いてる?ファーくん!」

「え、ごめん。聞いてなかった」

もう一度お願いすると内容はやはり、死体についての事

しかし、今回は殺し方も決っている
ガスの元栓の閉め忘れが原因の不慮な事故に見立てろとのこと、なんとも単純明快である

「今回は出来ないよ、ペスくん。それはまた今度ね」

「ファーくんったらいつもそればっか、いつになったらボクが殺りたいように殺らせてくれるのさ」


そう言いながら頬を膨らますのはとても子供らしいが内容とは一致しない行動だ

まだ肌荒れもしていないふくらんだ柔らかな頬を人差し指で押すと小さな音を立てて萎んでいった

「大丈夫だよ。まだまだ仕事は一杯あるんだ、いずれ自分の好きなようにできるよ」


「ん〜、まぁ、そうだけどさっ」

僕から離れてクルリと一回回ると裏のない笑顔で僕に帰ろうと言う

あぁ、自分はこんな風に笑えているだろうか
ヴァイザーさんにも、ペスくんにも言っていない過去はある、その過去に押し潰されそうでも笑顔でいなければならない

そんな自分は今、上手く笑えているだろうか?
ひきつった笑みを浮かべてないだろうか?

・・・


・・・分からない、そんなこと

もう、顔の筋肉の感覚などとうに忘れた
自分が笑っているのか、それとも怒っているのか、はたまた泣いているのか


それさえも、


忘れてしまった


少し上を見上げると
周りの赤と夜空の星が見える


微かに霞んで見えるのは何故だろう
何故、こんなに胸が痛くて、苦しいのだろう


・・・分からない

ワカラナイ







自分の頬に、何かが伝ったような気がした

東雲冬太


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