神とお話

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最高ランク : 19 , 更新： 2015/09/20 23:28:54

神様、優しさとは何ですか。

それはね、人がされて嬉しいことだよ。

神様、優しい人とは何ですか。

それはね、思いやりのある行動ができる人の事だよ。

神様、人間に疚しさはありますか。

そうだね。光が強くなればなるほど、影は濃くなってしまうからね。

神様、人間に疚しさがあるのはなぜですか。

それはね、人間は醜い生物だからだよ。

神様、醜いとは何ですか。

それはね、目も当てられない様な見苦しいさまを言うよ。

神様、醜い人間は救われますか。

光を信じ諦めなければ、いつかは救われるよ。

神様、いつかとはどのくらいですか。

それはね、私にもわからないんだ。

神様、優しい人にはどうすればなれるですか。

見返りを求めず、いつも笑顔で、平常心と平等を心がけることだよ。

神様、人間は醜いのですから、優しい人にはなれません。

いいえ、人間はとても醜いです。でも、それなりに優しさを持っています。

神様、貴方の思う優しさとは何ですか。

それはね、人が困っていることを助けることだよ。

神様、貴方は万能ですか。

私は万能だよ。

神様、私は思うのです。

人が優しくなれるのはきっと、一時的なものであると。

人は一生、心の底から優しくなれることなんてないことを。

人は、醜いです。貴方はそう言いました。

人は影があります。その影が消え去ることは光がなくならない限り一生ないでしょう。

人は愚かです。その優しさが誰かを傷つけていることを知りません。

人は実に愚か者です。見えない何かに縋り付いて救われたふりをしています。

人は嘘吐きです。その真実は誰かの嘘になっていることを気付きもしません。

人は人を信じられません。私がそうなように。

本当の「優しい人」とは、いったい誰なんですか。

それはね、私です。

神様、貴方は嘘吐きです。

所詮人間の空想上の産物にすぎない貴方が、何故その様に言い切れるのですか。

それはね、人間よ。私はお前たちによって産み落とされた。

だが私はお前たちよりはるかに上の立場だ。

神様、人は階級を決めている時点で平等でも、正義の使者でもありません。

それは違うよ人間。私は少なくともお前たちがこうであってほしいという理想通りの妄想だ。

だからこそ、私は「優しい」のであろう？

神様、貴方は何者ですか。

私は人間に生み出されたそれ以上の妄想だ。

人間の都合のいいように生み出された空想だ。

私はお前たちと同類だ。

神様、それは人間と神は等しい存在と言う事ですか。

その通りだ。

本来ならばそんな妄想は、存在しないのに。

信じるべきは、お前達一人一人、己自信と言うことだ。

神様、それでは貴方は万物の頂点ではないのですか。

いいや、私は万物の頂点だ。

何故？

それは、お前たちが決めたのだろう？
ならば私にはその定義しかないのだから、私が嫌でもそうなってしまうのだよ。

最後に神様、「私は優しい人」にはなれますか？

ああ、なれないよ。それも一生ね。

でも、「優しくする」ことなら、いつでもできるのではないか？

神様、私は「優しく」できるでしょうか。

それはね、今からのお楽しみだよ。

神様、私は欲深なので未来が知りたいです。

残念だね。未来は私の手にはないんだ。

どうなるかは、お前たち次第だよ。

結果がどうであれ、お前たちは最後まで人間として生きるのだから。

どうあがいたって、死んでしまってもお前は人間なのだよ。

全てを枯らす毒を吐こうが、美しい花の咲く種をまこうが、

私にはわからないのさ。

な、そうだろう。人間よ。

神様はそう言って姿を消し、現れることは無かった。