HQ!!夢小説

夢小説
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最高ランク : 48 , 更新: 2015/10/30 4:18:10

※HQ!!夢小説です。
※キャラぶれあるかも…?
※及川さん×夢主。
※唐突に書きたくなっただけ。



ある冬の日。からりと乾いた冷たい風が、私の体に容赦なく吹きつけてくる。口から吐き出した白い息が風にかきけされ、後ろへと飛ばされていった。
さくりとした霜柱の感触が靴の裏から伝わってきて、もう冬なんだなぁ、と実感する。それと同時に、高校生時代ともお別れなんだと思った。短いようで長かった高校3年間。青春らしい青春を送らずに過ごした時間は、私に一体なんの益となったのだろうか。
親友と言える人物もおらず、成績も運動もそこそこ。当然、甘い恋愛を送ったわけでもない。平凡で、ありきたりな人生。

「はぁ……」

無意識のうちにため息が出ていた。バイト先の店長にイージーミスで注意を受けて、気分も体もすぐれない。第一志望大学のセンター試験も来月に迫っている言うのに、勉強も力が入らない。ずっと、鬱々とした気分のままだ。

「何ため息ついてるの?」

ふと後ろから声をかけられて、重い足を止める。それと同時に、ひときわ強い風が吹きつけて、一瞬だけ視界を自身の髪で奪われる。
慌てて手で髪を耳の後ろにひっかけて、声の主へと顔を向ける。

「ため息ついたら幸せ逃げるよ?」

どこか余裕のある笑みを浮かべながら、同じクラスの及川さんが私の目の前にいた。ちょっと離れているんじゃなくって、目の前。体と体がくっつきそうな距離。え、なんで?

「あの、及川さん」
「んー? 何?」
「……距離近すぎないですか?」

私がそう呟くと、及川さんはとぼけたような笑顔で「そ?」と言った。無駄に爽やかな笑顔に何も言い返せなくなる。この人にとっては、異性との距離はこれぐらいが普通なんだろう。
私の身長は彼よりも低いので、顔を思いっきり上にあげないと、彼と目が合わせられない。

「話しにくいんで、ちょっと離れてくれます?」
「えー、寒いからいいっていいって」

何がいいんだ、この人は。私の気持ちも知らないくせに。いや、きっとこの人は知っていても知らないふりをするんだろう。

「今日は取り巻きの子、いないんですね」
「俺もたまには独りになりたい時もあるよ」

そういって及川さんは私から離れて、ぐーっと伸びをする。その後ろ姿を見ているうちに、私の心の中が空っぽになってくる。
一体いつから彼のことが好きになったのだろうか。そんなことも覚えていないぐらい、この感情は私の心の中に住みついていた。未だによそへ引っ越すつもりはないらしい。困った感情だ。

「それで話を戻すけど、なんでため息ついてたの?」

こちらを振り返った及川さんが、同じ事を訊いてくる。その顔には純粋な興味だけが浮かんでいて、余計に私の心を暗くしていく。

「別に……誰にだってため息をつきたくなることだってあるんですよ。いつものことです」
「いつもため息ついてたら、美容にも心にも良くないけど?」
「余計なお世話です」

珍しくこの人から声をかけられたと思ったら、どうしようもない話だった。ちょっとだけ残念な気持ちになるが、まあ、この人らしいと言えばこの人らしいか。

「用事ないんでしたら、私勉強しないといけないんで帰ります」
「え、待って待って。俺も一緒に行っていい? 女の子を一人で帰らすわけにはいかないでしょ?」

なんなんだこの人は。突然こんなことを言うなんて。あまり自意識過剰ではないが、今の私は気分がブルーを通り越してダークなんだ。ささいな言動も強く感じ取ってしまう。

「……途中までですよ?」
「えー、家の前まではダメ?」
「ダメです。着いてこないでくださいよ、彼氏じゃなくせに」

私が素っ気なく返すと、及川さんは何も答えなかった。……ちょっとだけ、きつすぎだかな。いやいや、でもこの人は甘やかすと付け上がるタイプだ。これぐらいでいいんだ。
心の中で無理矢理納得させていると、及川さんがぽつりとなんでもないことのように言った。


「じゃあ、今から彼氏になるよ」


ぱちくりとまばたきしてしまった。及川さんは、穏やかな笑みを浮かべてこちらを見ている。こういう時、なんて言えば……

「えっと、面白い冗談ですね。ごちそうさまです」
「え!?」

大げさに驚いて目をむく及川さん。まあ、この人が大げさなのはいつものことだ。気にすることじゃない。

「ちょ、冗談……!?」
「私が及川さんのことを全部鵜呑みにすると思いますか? 及川さんが本気になることなんてほとんどないのに」

そう言ってから、心の中で「バレー以外は、ですよね」と付け加えた。
及川さんは肩を落とすと、大きなため息を一つついた。

「君の俺に対するイメージって……」
「別になんでもいいでしょう? それじゃあ、さようなら」

これ以上この人と一緒にいると心臓に悪い。いろんな意味で。だからさっさと逃げよう。逃げないといけないんだ。
くるりと後ろ向いて、彼から離れようとした時、ぐいと手首を掴まれやむを得ず、足を止める。小さく息をついて、しぶしぶ彼の方を向いた。

「あの、用事があるんだったら、早く――」

言葉が途中で止まった。
先ほどまで、私の頭上にあった彼の顔が急接近したからだ。息をのむことすらできず、僅かに目を見開いた。
ちゅ、と小さく音をたてて、私の額から彼の唇が離れていく。まさかの状況に、頭と体がついていかない。

「言葉でわからなかったら、行動で示さないとね?」

そう言った及川さんの目は、バレーをしている時と同じくらい真剣で、ちょっとした茶目っ気が入っていた。

「じゃ、今日から俺が君の彼氏だからヨロシク♪」

ぱちっとウィンクして、私の手を握ったまま歩いていく。慌ててその後についていくが、頭は全然動かない。
バイトの店長に怒られたことも、勉強が上手くいかないことも、なんだかどうでもよくなってきた。

それどころか、これからの人生、なんだか全てか上手くいきそう。

そんなことを思いながら、右手から伝わるあったかいぬくもりを握り返した。


▼◇▲


最後までお読み頂きありがとうございます。
本当はリエーフ君の方がいいんでしょうが、途中で心が折れました。すみません!許してください!

あと氷室君の誕生日ですね。彼の夢小説は、今日書けませんが(というか全てのジャンルにおいて誕生日夢が書けぬ)ハロウィン小説は書きたいです。

そうですね、書きあげるのに1時間以上かかるというね。及川さんが一番好きなキャラなんですが、書きにくいです。どこかミステリアスで真剣そうな感じが。そういうところが好きなんですけどね。

ただチャラチャラしているキャラではないと思っているので、ちょっとだけかっこいい面を書きました。難しいですね。

余談ですが、キスは唇よりも額や頬の方が萌えるタイプです。

それでは。

夕霧.


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