【小説】[13:遠足2。買い出し](東方二次創作)

神の風をふかしにきたぜ! 小説 #この世に一人の俺と君
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最高ランク : 1 , 更新: 2022/09/06 7:02:08


「でも...私遠足行きたくないのよね」
さとりがボソッと呟く。
「どうして?」
「こっちは高校の費用に税金にいろいろお金がないのよ...遠足の準備にお金なんてかけたくないわ」
「別にいいじゃんか。行こうよ?」
「どうしようかしら..荷物全部誰かが用意してくれるのなら別に問題なんてないのだけど...」
「...じゃあ俺が準備してやるか?」
「...は?」
彼女は虚を突かれたような顔をした。
「いいわよ...別に」
「その様子じゃ行ったことないんだろ。遊園地なんて」
「...まぁ...」
「なら行っておこうよ。最小限の荷物で学校がチケット代まで負担してくれるって言ってんだぞ?」
「そうだけど...あなたにまたいろいろ奢ってもらうのは...」
「別にいいって。気にすんな」
「...」
さとりは少し考えるしぐさを見せて、口を開く。
「...ありがとう。お言葉に甘えさせてもらうわ」
「それでよし。じゃ、帰りに買い出しでもするか」
「...そうね」
さとりが少し微笑んだ瞬間、予鈴が鳴った。


※ ※ ※ ※ ※


「えっと...何だかそこまで準備物多くないわね」
「場所が場所で完成しきってるからな。そんなものだろ」
俺とさとりは近くの繁華府外にて買い出しに来ていた。
といっても、学校に提示された最小限の物資だけだが。
「買い物..他の人と一緒にするのってなんだか不思議な気分ね」
「奇遇だな。同じことを思っていた」
「そう...」
俺たちはある程度の荷物を買った。そこまでお金はかからなかった。
夕暮れに染まり、昼が夜へと変わっていく瞬間の街を、二人で歩く。
少しづつ暗くなっていく街には、ほんのり暖かくて涼しい風が吹いていた。
「あ...そうだ」
俺は思い出したようにさとりに一つのご祝儀袋を渡す
「...なにこれ?」
「まぁ中を見てみろって」
「...え?これって...」
小さな袋の中には、千円札を三枚入れていた。
俺からのささやかなプレゼント。
「...もらって...いいのかしら?」
「おう。楽しむのにもお金が必要だしな。まぁ楽しむのにもお金がかかるのは本当に現代社会の闇だと思うんだが...」
「...でも...これくらいなら私も持ってるし...」
「きついんじゃなかったのか?」
「ゔっ...」
「もらっとけよ。貸しを作るわけじゃねぇし」
「...ありがとう」
「どういたしまして」
彼女は、微笑を浮かべた。
だがその微笑には、今までの何倍もの嬉しさが詰まっているような気がした。
ふと。前を向く。
茜色の夕日が、ほんのりと俺たちを照らしていた。

神風はやと@ゆ茶劇制作中


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本日も一時間早いです。
サムネイルがごみすぎたので少し作り変えました


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2022/09/06 7:01:04 違反報告 リンク