*だからどうか安らかに

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最高ランク : 4 , 更新: 2023/02/20 5:20:29

※注意事項
・駄文と言い張る
・偏見部分あるかも
・生物学さんはウクライナのキエフ在住(いつぞやに言ったハズ)
・ウクライナ侵攻は2/24
・マイバースデーは2/26
・知ってるか?たった二日の間しかないんだぜ…





「…今年でもう、一年になりますか」

何の音もない、人の気配もない明け方。
金髪の女性は石の集まる場所に一人佇んでいた。

「はやいものですね、やっぱり…時が経つのは」

頬には絆創膏を二つ、頭には包帯。
頭以外にも、首や手、足にさえ包帯は巻かれている。

「でも、一年…一年ですよ」

ぽつり、女性は呟いた。

「この一年だけで、どれだけの命が消えたと…」

辺りに集まる石を見ながら、女性は奥歯を噛みしめる。

「……せめて、この日にはなってほしくなかった」

悲し気な顔をする女性の顔と髪を、明け方の太陽が照らした。
黄金色の太陽が、黄金色の髪を照らし、まばゆくなる。

「なぜ人はわかりあえないのでしょう」

そう呟いてみるも、答えはわかっている、わかっているのだ。
自分達は想いや知恵の集合体。
けれど生みの親たる人間達は一人一人"個"がある。
集まっていないから、一緒じゃなくて、違えて、こうなるのだと。

「大丈夫ですよ、あなた達の家族や親戚、友人はきっと負けません。」

そう言い、目を閉じる。

「だからどうか安らかに眠って。そして……」

つい先日、人目を忍んで会いに来た彼。
ある日を境に侵攻してきた国を担当する、
歴史の部下が涙目で謝りに来たのだ。

彼は言った。「遅くなり誠に申し訳ない」、と。
彼のところの言語は来られなかった。
彼らは自分達の出身地の人々が行った行動に突き合わされ、
仕事を大量に溜め込んでいた。それゆえ会えなかった。

しかし、その仕事はすべて…
一つこなすたびに、大量の命が消えていくものだった。
停戦否定の書類を書く仕事を成せば、その分長引いて命が消える。
そういうのをずっと繰り返し、彼はとうとう抜け出すことに成功した。


『私や彼を恨んでくれて構わない。』
『この土地の人々にはその資格が言うまでもなくある』
『石を投げてくれても構わない』
『だからどうか…』


時間をくれないかと彼は言った。彼も必死なのだ。

「…国から見たら敵だけれど、人として見たら味方もいる。きっとあなた達の大切な人も、その人達が助けてくれる。」

戦いはいつも復讐を生む。
復讐は何も意味をなさないと愛する義妹は言っていた。
犯した相手だけを怨むべきなのに、人間はその家族、種族まで怨む。
そして復讐を果たしたとき、果たされたところの子供が大人になったとき
その人を殺す。そしてそれを見ていたその人の子供がまた殺す。
永遠のループという名の"復讐"。だから意味を成さないのだと。

「私が言いたいのはね…あなた達がその国の人に殺されたのは変わりない。でも、どうかどうか、すべてを怨みはしないであげて。彼らの中にも逆らえなくて、事情のある子がきっといるの」

この国の人々が最近、流れてくる敵兵の保護を始めた。
敵の保護をする必要は本来ない。…彼らは分かっているのだ。
敵兵と言えど、逆らえなくて、騙されて来た子がいると。

半年前義兄が訪ねてきた時、話してくれた。
親から強制的に離されて連れて来られた子。
動けなくなったところをなんと味方から故意に殺された子などを。

「……今年こそは、終わらせてみるから」

膝をつき、石の下に眠る彼らへ手を握り祈る。

相手国の人々はこの戦いをフェイクだと信じているらしい。
…果たして、この惨状を見てもそういえるのか。
一度彼らと話をしようとしたことがある。
でも彼らはこれを「正義の戦争だ」と言った。


『戦争に正義なんてねーよ』


ちんちくりんと私がよく髪を撫でる男の子。
あらゆる言語の集合体、生まれたころぐらいから私と居た子。


『大体、人の命を奪って物を奪って、それが正義だって言うんなら正義は一体なんなんだよ?誰かの人生を悲しみに塗り替え燃やすことのどこが。例え何かしらの理由があっても、戦争に正義は味方しない』


いつもはあまり喋らない彼なのに、その時は悟ったように言っていた。
そういえば以前、この国の女の子が泣いていたな。
スマホを見せてもらうと、かつての友人が敵国にて
戦争を賛成するような文と共にその写真を送って来たそう。

「…こんなひどい世の中を」

復讐は何も生まない。戦争だって、何も生まない。
立ち上がり、眠る彼らを見る。

「私は絶対に終わらせる」

教科が人の歴史に手を出すのは、本来あってはならないこと。
国語が女性と出会ったように、地学が恋をしたように。
何にも気付かず故意なく行ったことなら、
それは歴史に手を出したことにならない。

でも…そんな歴史が、親友と一緒に居たくて関わって、
その親友が死んだように。
手を出してしまえば未来は変わってしまうけれど。

未来は、変えるものだと自分に言い聞かせる。大丈夫、怖くない。
私は生きとし生ける物の知恵の集合体。
死なない体が役に立つなら本望だ。
自分が愛した土地、平和な土地を奪わせはしない。併合など、絶対に。


最後にもう一度彼らに目を向ける。
太陽は既に空へ登っていた。
もうすぐまた戦いは始まるだろう。
夜より激しい戦いが。

ぞろぞろと、隠れて寝ていた人達が外に出る。
また鉄の雨が降り注ぐかもしれないけれど、
せめてそれまでは外にいたいのだ。

彼らを守るために。

一度まばたきをした後、
女性はその場を後にした。

しょぅゆ。


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「大丈夫ですよ、あなた達の家族や親戚、友人はきっと負けません。」
という言葉が心に染みましたァ…
「私は絶対に終わらせる」
という強い意志も最高です。
気づいたらポロポロなきながら読んでました
どうか、平和になりますように。


꒰ა✞継澪✞໒꒱
2023/02/20 5:22:29 違反報告 リンク


そうか……もう1年経とうとしてるのか……
戦争に正義なんてない。本当にその通りだと思う……


イカノシヲカラ
2023/02/20 5:22:45 違反報告 リンク


紫月さん

うっそん…(貰い泣き)
平和が一番☆


イカノシヲカラさん

あと4日後だぜ、
早いこって…


しょぅゆ。
2023/02/20 6:52:25 違反報告 リンク


ゃばぃ泣ける。。。

狂姫
2023/02/20 8:45:02 違反報告 リンク


ゃったぜ。。。

しょぅゆ。
2023/02/20 8:55:48 違反報告 リンク


もうすぐ一年になるんですか······、早いですね。

言葉の一つ一つが心にグサグサきました。好きです。


くろねこらいふ
2023/02/21 2:07:20 違反報告 リンク


うわ~ありがてぇ(´・ω・`)

しょぅゆ。
2023/02/21 2:37:22 違反報告 リンク


こういうの好き....
まだ戦争続いてるのきついんだわ(日本があーならなくてよかった)


お皿
2023/02/27 0:44:01 違反報告 リンク


一年も続いてるってやっぱこの時代には似つかわしくないよなぁ…
知ってるか?戦後一度も戦争に参加していないのは
日本を含め200を超える国の中たった7つの国だけなんだぜ…


しょぅゆ。
2023/03/01 7:01:58 違反報告 リンク


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