第一話 金の焔と銀の露
百鬼夜行最高ランク : 2 , 更新: 2019/06/02 6:09:00
とある晩。あやかしの住まう社の中で、ささやかな宴会がなされていた。まぁ、新入りが来たのだとか、供物が豪勢だったから、というわけではなく。ただ、呑みたいから呑む、といった人間どもにも言える、所謂「気まぐれ」で行われるものである。
そんな中、ぼうっと外を見ながら酒を飲んでいた女の隣に、男がすっ、と座りおった。女は嫌な顔をしなかったが、暫く間を置いた後口を開いた。
「……旦那はん、また人の子を騙してきたんかえ?」
銀色の尾をゆらゆら揺らめかせ頭に着けた面の位置を正すと、天狐はしとやかに目を伏せた。そうして雪のような白い指先で酌を手に取り、そうっと口許に宛がう。こくり、その喉元が動いたとき、隣に座っていた男ーーこちらも狐であるがーーが口を開いた。
「そうだぞ!だって面白いもんな!」
ぱ、とにこやかに笑う九尾狐は、酒気を帯び顔色を紅潮させている。この狐は弱いのによく呑む、と銀狐、否ギンは細く息を吐き出した。
「困った方やなぁ、……イツワはん」
イツワ、と呼ばれた金狐は口をむ、とさせ、「いいだろ!」と言った。少々、語気を荒らげて。
「せっかく化かす能力があるんだから、使わないと勿体ないぞ!!それに、綺麗な女や男に化ければ人間らは俺によってくるんだ、たまに珍しいものをくれるんだから俺は」
「イツワはん」
イツワの言葉を遮るように、ギンがぽつり。
「蛍が、逃げてまう」
「……あ」
ギンの視線の先をイツワが追うと、闇のなかを蛍の光が照らしていた。そのさまは幻想的で、イツワも言葉を失った。
「……落ち着きなはれ、イツワはん。うちは、イツワはんがすることを止めようとは思ってへんよ。ただ、人の子らには少々可哀想だと思っただけ。……まぁ、でも狐の性質(タチ)でもあるから仕方あらへんな」
そう言うと、女狐は悪戯っぽく目元を緩めた。その姿は大人びて美しく、イツワは「この女も相当困ったやつだよな」と酒を煽る。そうして前へ向き直ると、おもむろに呟いた。
「……綺麗だな、蛍」
「ええ」
気まぐれの宴会は、まだ終わることを知らない。
久々に和風を書きました、難しいね!!!
一発書き良くない!!!
一話目、書いてて楽しかったです、おきつねさまー!!って感じで(は)
ちょっと子どもっぽいイツワくんと、色っぽいギンちゃんが書きたい人生でしたありがとうございました南無
次回は椿ちゃん!!
更新いつになるか知りませんが、気長に待ってやって下さい……
ではでは!
んんんん!!愛おしい!
尊い!好き…←語彙力急募
酔ってるの可愛いよおおお!!!!
そして、舞台が宴会ってのも!
なんですか!本当むり、すき、ありがとう…!
空色
2019/06/02 6:59:12 違反報告 リンク
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