なんちゃってない人狼戦線 2日目

小説 人狼 なんちゃってない人狼戦線
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更新: 2016/09/02 23:22:23

――そんな目覚めの悪い話を聞いて眠れない夜を過ごし、気づけば翌日の午後1時になりそうな頃になっていた。
あのあと教師三人で彼女の遺体を遺体安置所に運び入れ、普通に時間を過ごしていたのだった。全く、やけに平和すぎて吐き気がする。
昨日は良くわからないことで頭がいっぱいになったというのに、なぜ皆平気なのだろうか。まぁ、冷静に見せて自分を保とうとしてるのかもしれないと考えれば納得がつくので大人しくしておくことにした。かと言ってなにもしないで引きこもる、というのは自分の性に合わないのでスタスタと階下に降りた。





降りた先は、といえば既に皆集まっている。これは今日から行われる処刑のための話し合いの場らしい。……正直言って気がのらないのは俺だけじゃないよね。

「……遅くなったね。」
「本当にな、我としては困ることこの上なしだが……ま、役者はこれで全員だろう。さっさと執り行なおうぞ。」
「あぁ、では――これより2日目の話し合いを始める。」

ギルガメッシュの催促を受け、綺礼の掛け声があって話し合いが早速始まった。

「まずは私からだ。……占いCO、佐川は白だ。理由、特にはない。」
「占い結果でてる感じ?そしてよかったー弟がにんげーん!」

占いと名乗る教頭の遠坂をちらりと一瞥すればコクっと何かの合図だろうか小さく頷いた。で、先程白をもらった佐川とその姉はというと――何やあら姉が抱きついていた。普段はなんだかんだで振りほどいている様子しか見ないだけに、どこか新鮮味を感じる。
なんてことを思っていれば突然アルブムが席を立ち、キッと教頭を睨んだ。

「こほん……っと私からも占いCO、ギルガメッシュさんは白です。理由は特にありません。」
「な、偽物が出てこようとは。計算には含まれていたが君とはね。」
「私も驚いています。そして同時に残念に思います。」

どうやら占いの対抗のようだ。なんというか前のクラス人狼を思い出すな、なんて感想を抱きつつ、どちらが本物か見極めなくてはならなそうだ。というか占いが出てるのだから、霊能までいっそ出てきてくれないはしないだろうか。

「はい!私霊能師ですよー!幽霊見えちゃいます!」

と、なんとなく思っていたらあっさり出てきた。頼りなさそうなエルメスだ。待って、君なのかい。

「ふむ、占いと霊能が揃ったところでグレラン、といこうか。」
「最初やし恨みっこ無しのほうがええもんな。」
「せやね、占いのどちらかが狼なのはわかるんやけど……今はまずは様子見や。グレランでええやろ。」

ふむ、確かに妥当かね。今すぐにと占いのどちらかを潰して本物を殺す、なんてことになっては元も子もないだろう。

「と、いうことでグレランと行こう!いいね!」
「やけに元気だな姉さん……。」

呆れ顔で見る佐川に親近感を沸かせつつ、投票の準備でもしようかと俺はペンを取り出そうとした。しかしその途中で制される……なぜなら――

「まぁとりあえず……今はまだ早いから一旦各個人の部屋で考える時間といたしましょう」

部屋中にスッと氷のような冷たい声が響いたからだ。声の主はといえば、自分の血のつながった妹で目にはどこか決心を固めてるような色を浮かべていた。まぁ、自分の見知った人を殺すための投票なんだからそりゃ決心を固めるか。
ということで俺らは時間の時間まで部屋に待機することとなった。





それから軽く数時間経過し、気づけば投票時刻。俺はとりあえずなぜ知り合いを殺す、というのにあの緊張感のなさに怖くなったので彼女、佐川深森に投票し、即日開票という形となった。まぁ処刑をするからね……で結果はどうなのだろうか

エルメス:柚月
ギルガメッシュ:深森
蜜柑:深森
時臣:柚月
佐川:深森
綺礼:深森
深森:柚月
柚月:深森
透真:柚月
アルブム:深森

という結果で佐川深森が本日の処刑人だそうだ。……俺への信用の薄さに涙が出てきそうなんだけど。

「こういう時は変わり身がしっかりしてそうだと思いましたからね。」
「酷くありませんか教頭先生。……で、処刑が……君なのかい。」

スッと処刑の確定した深森をみる。一瞬目が泳いだが、何かを悟ったように銃をこめかみに当て俺の方を見て、次に弟を見た。

「……らしいから仕方ない。信用無かっただけの違いだしね……あーあ残念。弟にも信用してもらえなかった……人だ―って喜んだのに。」
「アンタは真面目なときほど人を騙すことに長けてるから怪しいに賭けた、別に信用してないわけじゃない。」
「そっか……んじゃ霊安室にお願いします。」

話はそれだけだと後ろ向きに歩いて外に出たかと思えば、笑って彼女は引き金を引いた。念の為に、と震える手で二回撃ったのを俺らは見逃さなかった。投票していてなんだけれど、その時の笑みはとてもこれから人を殺す顔には見えなかったのを覚えている。





それから数時間経過し、皆が寝静まる丑三つ時に俺ではなく"僕"は目が覚めた。手元には日記が置いてあり、その上においてある手紙には絶対確認しろと書かれている。おそらくだが、コイツの二重人格である僕にこうするしか伝える方法がないからだろう。まぁそれはさておいて中身といえば、いつもより乱雑な字で「部屋に武器があるからそれで霊能者を、エルメスの護衛に専念せよ」とだけ書かれている。
実に不適切な文面である。全く、せめて事情とか伝えてくれればいいものをなど毒をつきつつも部屋にあったハンマーを片手に僕は部屋を後にした。






余談だが、この日誰にも会わず一夜を明かした。

犠牲者(処刑人も含む)――

佐川深森
萩風 暁

もずくもち@のーたりん


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Twitterに上げてたやつ
2016/11/26 8:04:55 もずくもち@のーたりん 2

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2016/11/26 8:09:57 もずくもち@のーたりん

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2016/09/07 3:06:25 もずくもち@のーたりん

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