▽怪盗と少女△

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最高ランク : 67 , 更新: 2016/03/28 8:17:15

「おっと、バレてしまったか」


いつどこで、かは忘れてしまったけど、確か満月の夜だったと思う。
変な仮面をつけた男の人と出会った。
その男は自分のことを「怪盗だ」といった。
真っ白なマントが風で揺らぐたびに、雪を思い出した。
冷たい、冷たい、雪。


「俺に出会えた君は幸せ者だね。まあとりあえずこれは返しておこう」


彼はそう言って、私にキラキラと虹色に輝く宝石を渡してきた。
夜をいっぱいにため込んだ宝石は、私にとってすごく重く感じた。
この人が抱え込んだことも、吸い込んでいるようで。


「あなたはどうして、」

「じゃ、またな。″紀葉"」


そこからは、ふっと目を布で覆われたように記憶が途切れていた。
翌日、目を覚ますといつものベッドの上だった。
ほとんど何も変わっていなかったけど、ひとつだけ、ひとつだけ。
変わったことがあった。

机の上に夜を吸い込んだ宝石があった。
月の光や、星の瞬き。誰かの願いや、幸せ。
その宝石は、全部を持っていた。


「どうして、名前…」







その出来事があってから、私はずっと怪盗と名乗った男の人を考えていた。
同時に彼と共にいたい、とも思った。

怪盗、っていう響きがかっこいいからかもしれない。
今の日常が苦、だからかもしれない。
毎日、行きたくもない学校に行って、家でも好きなことができない。
私の空虚な生活を変えるような人。それが彼なんだ。

満月の夜になると、空をみて願った。
また彼に会えますように、と。

あとからわかったことだけど、夜をいっぱいに吸い込んだ宝石はうちのものだったらしい。
うちにそんな高価なものなんてあったっけ、と思いつつも毎日それを眺めていた。







「満月だ……」


やけに重く感じる体。ああ、そうか。夕方からずっと寝てたんだ。
体を起こして窓のほうをみると、カーテンが夜の風で揺らいでいた。

……窓、開けてたっけ。

恐る恐るベッドから降りると、月光が差し込んできて目がチカチカした。


「やあ。また会ったね」


月光を反射させる、雪みたいな白色。変な仮面。


「あなたは……」


あのときの怪盗だ。
逆光がまぶしくてうまく顔はみれないけれど、彼だ。


「君は今つまらない顔をしているね」

「つまらない顔、」


彼の瞳に映らない私の顔。
つまらない? つまらないって、なんだ。
おもしろい顔があるのだろうか。


「なにも刺激がなくて、毎日がつまらなさそうだ」


そう言って彼は窓枠に手をかけた。
風でマントが翻る。


「私は……!」

「うん」

「私はこの生活から抜け出したい。あなたと一緒に行きたい!」


一歩、一歩。
空に近くなる。


「でもっ……」

「紀葉」


怖い。
今を変えたいのに、変わった先が怖い。
家のことが怖くなる。学校のことが怖くなる。
このひとと、歩んでいけるのか、怖くなる。


「来るか?」


仮面を外した彼の顔。
逆光が眩しい。
彼の瞳に映る私の顔。


「……うん!」


彼の手をとるともっと空に、満月に、近くなった。








つっきーこと月鏡ちゃんの創作っ子のお話です~
スピード重視でさささーと書いてしまった…!
このふたりのお話すごく好きです♡


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ああああああありがとうううう
すっごいすてき!!!!かるちゃんの文章大好きだから書いてもらえてすっごく嬉しいよ!!
本当にありがとう(´°̥̥̥ω°̥̥̥`)


竹雀
2016/03/28 8:48:52 違反報告 リンク


あああそういってもらえたらめちゃくちゃうれしい!!!!


2016/03/28 9:12:48 違反報告 リンク


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*ありがとうございました*
2016/04/02 2:31:30 2 7

どうも。ぱーぽです。 4月にはいりましたね。 今日、学校に行ったら桜が満開でし...


*もうはるやすみ*
2016/03/16 8:32:34 8

ミクの日からしばらくたつのに今頃のせるという適当さ。 そしてネコの日以来の登...


▽Test△
2016/02/27 7:55:49 4

「悠斗~、つかれた~」 「まだ5分もやってないぞ……」 「あぁ、もう私の集中力は...



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