Tシャツとアイスの理論

宮古 涙泪愛哀 短編
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「夏といえば趣味の悪さ全開のTシャツに棒アイスが定番であり、若干だがこれは日本の風流と化している。それが分かるかねワトソンくん」

「そんなの知りませんよホームズ」



顔面に今すぐにでも棒アイスをホームズ、いやホームズ気取りな彼にぶつけたくなったのだが彼女はそれをしなかった。
彼との付き合いが長い為なのか、もし長いのからかわいそうにと、今すぐにでも同情でもしてあげたい。
そしたら某ドラマの某台詞が飛んでくるのであろう。
あの名作の台詞を言われたのならそりゃ涙腺崩壊させて金を渡すがな。

話は逸れた。

夏休み中の音楽室はクーラーだの冷房設備が行き届いていないため、蒸し暑いただのオッサン達と入るサウナ状態である。
さて、ここで疑問が浮かび上がる方、ご名答である。

夏休みで音楽室と言えば合唱部か吹奏楽部。
まぁ彼女は合唱部なのだが、何故この彼はここにいるのだろう。
明らかに部外者であるのは確かである。




「早く出てってよ。Nコンまでもう少しなんだから」

「いやぁ。バスケ部スゴくてさぁ。ちょっとだけ僕は抜け出してきたよ」

「知らないよ」




ニヒルな笑みがとても似合う、彼は一応彼女の幼馴染みでありバスケ部所属。
若干跳ねた髪の毛の色素は、染めてんだか知らないがクリーム色。例えるのならクリームシチューの色。
夏だというのに彼の髪の毛を見るだけで腹の虫が鳴り響くのは、彼女にとって最高最悪の憂鬱元であろう。



「んん。美味しい。お前も帰りに買ってやるよ」

「ありがとう。はやくどっか言って」

「ったく、機嫌わるくなるとお前はいつも口悪いな。だからいつまでも彼氏ができないんだよ。阿呆め」

「そんなの言われなくても結構ですー!それに、私には好きな人がいるし……」



彼の顔が分かりやすくフィルターがかかったかのように曇る。
口の悪さや、運動神経や頭の良さはピカイチだというのに恋愛に関してはくそとド素人である。
彼はくるりと方向転換して手をヒラヒラと振るとすぐさまその場から立ち去った。
そんな彼のいきなりの行動に不振がりながら彼女はソプラノの練習を始める。NHKコンクールまであと少し。

そんな彼女の元に数分後大量のアイスが届く。
それはさっき彼の食べていたもの。
袋に入っていた手紙に書かれてた一言に笑いながら確信した。



(あいつしかいないや。もー)





Tシャツとアイスの理論
(汗でへばりつくTシャツに棒アイスを貪り食う、そんなひとときをください)

ちえ子


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では。
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