記憶浄化〜マヴィラ編〜

ARC THE LAD 記憶浄化 記憶浄化は過去編シリーズの名前
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:124 hit

最高ランク : 10 , 更新:

皆さんおはにちばんは、酔風です

レイン「ついに書くんですか。」
酔風「そうだよ〜。それはそうと、ウチはマヴィラじゃないって分かってる?」
ザナス「ややこしくなるから止めてほしいのよ、その話。」
レイン「そんな訳で前フリもなく話が始まりますよ。」
723「二次オリな上にゲーム本編の一部を改変してるからな。何も考えずに読んでくれ。ちなみに今回は、悩んだ末に童話調にしてみたらしい。」
ザナス「じゃあ始めるのんね。」
酔風「レイン・マヴィラ・モンジの過去物語、始まり始まり〜!」
レイン「なんでそんな明るく言うんですか……?あっ、記憶喪失編はまた今度書きます!」













昔々、精霊の存在をすべての人々が知っていた頃のこと。精霊たちの言葉を伝える、加護を持つ一族がおりました。彼らは並外れた魔力や特別な力を持っており、人々から敬われてきました。
しかし精霊を信じる者が減ったことで、彼らは魔物と同等の扱いを受けるようになりました。
そのうちに彼らは人々と精霊の橋渡しをやめ、身を隠して暮らすようになります。ところがその多くは、力を恐れる者や利用しようと望む者に見つかって、皆命を落としてしまいました。
しかしまだ生き残っている者たちがいました。精霊の国スメリアにいた、魔法を得意とする一族もその一つでした。彼らは自分たちの存在を秘密にするため、子供たちには何一つ伝えないことにしたのです。そうして忘れられた一族、それが北の村に住むシェルフ一族でした。

レイン・シェルフ・マヴィラは極寒の地にある村に生まれた子供でした。スメリア王族がいるパレンシアからはとても遠い村だったので、決して裕福ではありませんでした。しかし、そこでの暮らしを彼女は楽しんでいました。
ある春先のことです。彼女は母親に背中を押されて、パレンシア付近の町へ出稼ぎに行くことになりました。昔から町のモンスターを見てみたいと思っていた彼女は、意気揚々と旅に出ます。その直後に村が突然変異を起こしたモンスターに潰されることなど、想像もしていませんでした。
母親は未来を知る魔法が使えたため、どういう意図で自分を送り出したのかはマヴィラにも想像がつきました。パレンシア近郊ではモンスターの突然変異が頻発していると聞いた彼女は、行けば何か分かるかも知れないと旅を続けることを決めます。

そうして町でハンターの仕事をこなしながら、突然変異について調べていたある日のことです。どうも、ロマリアという謎の多い国とスメリアの間に、妙な噂が流れているようなのです。何でも、操られているのだと。確かに今の大臣はロマリアの人間です。技術大国と言うからには、何か関係があるのかもしれません。彼女はパレンシアに向かう事を決めました。

その道中で資金集めの為に寄った町、ダウンタウン。そこで少しばかり彼女は苦戦を強いられました。討伐依頼を受けたのですが、肝心のモンスターが一向に見つからないのです。クソゴーストめ、と悪態をつきながら宿に帰ろうとした時、誰かの声が聞こえてきました。件のゴーストの可能性もある、と考え声のした方へ駆け出すとそれが正解だったことが分かりました。
声の主らしき少年は身ぐるみを剥がれそうになっていました。ゴーストのくせに金がほしいのかと笑いながら、彼女はモンスターを氷漬けにして倒します。
ありがとうと頭を下げる少年に、彼女はハンターなんかにそんな態度をとるなと告げました。明らかに裕福な人間である彼と親しくするというのは、危険に飛び込むのと同義だからです。それでもお礼がしたいと自分の名前や店の場所を告げた彼は、優しく笑って別れの言葉を言いました。

彼の……ヴィロゼニア・パキュテスの笑顔に惹かれて、彼女はつい店に足を運んでしまいました。いつもはギルドで狩ったモンスターの所持品や皮を売っていたのですが、彼はそれよりも高値でそれらを買い取ってくれ、それを理由にしてマヴィラは店に通うようになります。
いつの間にかロゼン、とあだ名で呼ぶようになっていましたし、時折いい雰囲気になることもありました。
ところがそれが彼の家族にバレてしまい、マヴィラは店を追い出されます。ロゼンは病弱な長男の代わりに店を継ぐことと、結婚する相手が決められていたのです。マヴィラは当然だと距離を置こうとしたのですが、ロゼンはギルドに狩場に酒場に宿に……マヴィラのいる場所へ毎日やって来ました。

しかしそれでは諦められるものも諦められません。マヴィラは、資金はもう充分すぎるほど溜まったんだから、と何も言わずに町を出ることを決めました。
そして早朝に荷物を背負って宿を出たのですが、どうも店の方から焦げ臭い匂いがするのです。
嫌な予感がしてそちらへ駆け出すと、町が真っ赤になっていました。燃える建物の中にはロゼンの店もありました。まだ朝日も上らない時刻でしたから、彼は逃げ遅れている可能性が高いのです。というか、恐らくこの火事に気づいているのはマヴィラぐらいなのではないでしょうか。
それが分かった彼女は、燃え盛る店の中に足を踏み入れようとしたのですが、突然右目が見えなくなりました。その直後猛烈な痛みで立ち上がることが出来なくなってしまいました。地面を見ると、大量の血で赤く染まっています。恐る恐る右目を触ると、何やら冷たいものが突き刺さっているようでした。
この辺りにガラスが使われているような建物は無いので、魔法で作られた氷と考えるのが自然です。しかし、そんなことを気にしている暇はありませんでした。一刻も早く見つけなければ、彼は炭の塊になってしまうのです。早くしなきゃと入り口を見上げると、そこによく見知った影が見えました。
よかった、彼女はそう呟いて影に手を伸ばしたのですが、彼はそこから動こうとはしません。早くしなきゃ死んじゃうと声をかけると、彼のぼそりと悲しげな声が聞こえました。ここから出られない事、入ったら二度と抜け出せない事、それだけ言うとロゼンは入り口を塞ぐように魔法で氷柱を作りました。マヴィラは二人を隔てた氷を叩き、必死になって一緒にいたいと訴えました。しかし彼は決して首を縦に振らず、彼女の意識は徐々に遠のいていきました。先程から血が流れ続けて止まらないからです。
嫌だ、と泣きじゃくりながら彼女が意識を手放したそのとき、氷越しに二人の手は重なりました。出来る事なら、そう零した彼の目からも涙が溢れていた事を、マヴィラが知ることはありませんでした。

そうして片目と恋人を引き換えに生き残った彼女は、ダウンタウンで知らぬ者はいないはぐれ者たちの若頭、トッシュに助けられます。トッシュの育て親の組であるモンジ組のことを、スメリア国王……というより大臣が快く思っていないことは彼女も知っていました。その為モンジ組の一員として過ごし、調査を続けることを決めます。それ以外に何かをする気なんて起こらなかっただけではあるのですが。
それから暫くは平和でした。子供みたいに馬鹿騒ぎして、笑って過ごすのが心地よかったのです。しかし、その平穏も覆されてしまいました。
大臣の策略でしょう。自分を犠牲にすれば組は助かると言われたトッシュは自ら無実の罪で出頭し、結果として残された舎弟たちはマヴィラも含めて皆一様に処分されてしまったのです。

トッシュが絶望の底に突き落とされ、苦しんでいたときでしょうか。マヴィラは一人だけ、蘇生されて助かりました。間に合わない可能性が高い状態で無理な蘇生を受けたのですが、それをした誰かは精霊と名乗っていました。
なんでまた自分だけが、と彼女は涙を流しました。そして、一度死んでいるという事実と、生きているという事実の間で苦しむことになります。死んでいるのに生きているこの矛盾から、衝動的に自身の命を断とうとするようになりました。しかし、無理な蘇生のせいか死ぬ事さえ出来なくなってしまっていました。言うならば生きた屍、不死の死人、ゾンビと同じです。

苦しみから自暴自棄になった彼女は、命を顧みないような戦い方をするようになりました。ただ依頼をこなして最低限の生活をするだけ、そんな日々が続いて一年ほど経った頃です。
ギルドで極悪人アーク一味の手配書が出されたのです。その中には、トッシュの手配書も含まれていました。それを見て、マヴィラは何かに突き動かされるように空港へ向かいます。今動けば何かが変わると信じて、ロマリア行きの飛空艇に乗り込みました。何故そう思ったのかは分からなかったのですが、とにかく行かなければと感じたのです。

そしてたどり着いたロマリアのスラム街、クズ鉄の町で、トッシュと再会するマヴィラ。以前と変わった若頭と、以前のように悪巧みをした。世界の崩壊を食い止める為だなんて突拍子もない、信じがたい理由でしたが、マヴィラはその作戦に手を貸すことを決めました。大切なものを壊したロマリアを倒すため、そしてもう誰も自分のように壊れなくていいように。

その作戦を立てる途中で出会った謎の男シュウと兄貴の熱い感情を見守ったり、一員に加わることを断ったり、様々な物語を経ます。その後、崩壊は食い止められたものの破滅した世界で、復興を手伝いながら生きます。

そしてある日訪れた神殿。マヴィラは失ったはずの彼の後ろ姿を見ます。恐る恐る声をかけると、忘れもしないあの優しい笑顔で振り向いてくれました。こんな事しか出来なくてごめん、そう何度も何度も謝る口を塞いで、マヴィラは抱きつきます。トッシュと再会する辺りまでマヴィラはずっと見ぬふりをして来ましたが、本当は分かっていました。彼が、姿は見えなくてもずっと側で見守ってくれていた事も、ずっと自身のした事を悔やんでいた事も。
これからは一緒に居られるんだから泣かないでよ、彼女はそう言って彼を強く抱きしめました。夢じゃないと確かめるように。ちゃんと向き合うために。


















酔風「終わり!!!」
レイン「なんで最後の最後でシリアスぶち壊すんですか??」
723「もう分かんねぇよ……酔風はマヴィラじゃなくてでも片目失ったあとの姿で……分かんねぇよ……。」
ザナス「収集つかないから僕が終わらせるのよ!また来るのね!」

酔風


投稿を違反報告 / ブロック



コメントをするにはログインが必要です : ログイン


クトゥルフさせたいんじゃ〜〜〜
酔風 6

皆さんおはにちばんは、酔風です。 レイン「最近デジタルばかり描いていたら、...



カラオケ行ってきました✌︎('ω'✌︎ )
酔風 6

みなさんおはにちばんは、酔風です レイン「(Music man)」 ザナス「(天下無...



雑談 友達募集 ともぼ 友募 御初 把握会 企画 短文 イラスト