【小説】飼い猫が女の子になって帰ってきました！？（東方二次創作）

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最高ランク : 8 , 更新： 2023/02/23 3:46:41

俺には大好きな飼い猫がいた。
名前は橙(ちぇん)っていう、いたずら好きな子猫。
雌で、可愛くて、愛おしくて、癒しで。
学校で疲れ切っていた俺の心を何度も何度も癒してくれた。
...で、本題はあくまでもここからだ。
ある日のことだった。
俺はその日、疲れ切っていたんだ。そう。色々あって、超絶疲れていた。
そしてそのまま自分の部屋に入ってベッドにダイブ。
...そのまますやすや...眠りに落ちた。
...で、目が覚めた時の話をしよう。
重く上に何かが乗っている感覚。
それから...抱きしめられてる感覚だろうか。
布団の中で俺に抱き着いている何かがもぞもぞ動いている。

「...ん...あ？」

橙「あ、おはようございます！狂夜様！」

「...は？」

今本当にわかりやすく、頭の上に？(はてな)が浮かんだ。
いや、え？
誰？誰なの？いやマジで誰？
よく見ると尻尾生えてる。猫耳もある。しかも尻尾一本だけじゃないし。
...本当に、どういうことだよ。誰か教えてくれ。頼む。
調子が狂うって...。

※※※※※

...俺はその後、言葉が通じるみたいだから一通り話を聞いた。
なんだか知らんがこいつは俺の飼い猫の橙らしい。
...橙が、人型になったみたいなんだ。
...意味不明だけどな。
まぁ...魔法だとか能力だとかの超常現象が少しずつ確認されてるこの世界だ。こんなことあってもおかしくないだろう。
...ま、ここで一度この世界についての説明を挟もうか。
俺の生きてるこの世界では、今まで魔法や能力などの漫画やアニメの力がいくつか確認されている。
今を生きる人間たちにも、その能力や魔法が少しずつ使えるようになってきているのだ。
...どうしてこんな世界になったのかは知らないが。
...で、話を戻そう。
そんな中橙に能力が宿ったことで、今こうして人になった...らしい。
意味不明だな。うん。
いや、飲み込むしかない。これが現実だ。うまいこと飲み込むしかないんだ。
...でだよ。俺はそんな飼い猫を抱えながら、紫さんとリビングで話をしていた。

紫「...本当にその子が橙なの？」

「...らしいんだよね」

橙「失敬な！私はちゃんと狂夜様の飼い猫だよ！」

「...うん。性格からして本当に橙だ」

調子に乗りやすくていたずら好きで、それでもって俺に甘えてくる。
...本当に、こんなに俺の飼い猫にそっくりな奴がいるだろうか。
...そういえば、この時の橙は何て呼べばいいんだろう。
人間？いやそれは違うな...化け猫...も、なんかいやだ。
...獣人？...とでも言っておこうか。

紫「...で、その子のことどうするの？」

なんて、俺に話しかけてくる紫さん。
...八雲紫。俺のお母さんの親戚、とでも言っておこうか。
...今俺はとある事情で父さんと母さんとではなく、紫さんと一緒に住んでいる。
...今はまだその話は振り返らなくてもいいだろう。

「...どうするもこうするも...預かってもらうところを探すしかないだろ」

紫「...そうよね...やっぱりそうなるのよね」

「...元々、橙を託す友達の家を、ずっと回るつもりだったんだ。...いまさらその計画が狂うこともないしさ。
...それに、ほとんどの知り合いとは連絡が取れてるんだ。大丈夫だよ。...明日にでも、出かけようと思う」

...面倒な準備も終わった。橙が人になったのであれば、電車に乗るにも面倒な手順を踏まずに済む。
橙は何の話？という顔をしているが、知らんこっちゃない。
俺はその場をゆっくり立ち上がると...一度伸びの仕草をする。

橙「...どうしたの？狂夜様。」

「...橙。お前の分の用意もするぞ。」

橙「へ？何するの？」

「...旅に出るんだよ。お前と二人で」

...そう、俺は橙のことを抱えながら告げた。

...これが、長くも短い、俺の最期の旅の始まりだった。