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最高ランク : 3 , 更新： 2023/07/19 6:17:32

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少女が言いました。

「ねえ、お姉様。」

少女より少し年上の女の子がこう言います。

「どうしようもないのよ」

彼女達の前には、荒れ果てた故郷がありました。
家は崩され、仲間は苦しみ、家族の姿は見当たりません。

少女はふと、近くにあった砂浜に目を向けました。

砂浜にはペットボトルやビン、缶がそこらじゅうに落ちていて、タイヤやハンドルなどの廃棄物が山積みにされています。

少しの間その場所を見つめると、大きな人影が現れました。

人影はこう言います。

「ここならきっとばれないぞ！」

「早く持ってこい！」

声を聞き、少女は悟りました。
この場所はもう危険なのです。

少女は年上の女の子にこう言います。

「早く逃げないと危ないよ」

年上の女の子はこう言いました。

「私はもう、どうでもいいの。」

自暴自棄になった年上の女の子は、その場から離れていきました。
どんどん姿が小さくなります。
ついには見えなくなってしまいました。

年上の女の子を見届けた少女は、不安になりました。
それ以上に、自分の身についても不安になりました。

少女は急いでその場を去りました。

遠く遠く、離れていきます。

道中には、もがき苦しむ仲間の姿があります。

「苦しいよ」
「助けてよ」
「死んじゃうよ」

声を聞いても、少女にはどうすることもできません。
同じ目に合わないように、必死で逃げることしか。

とうとう少女も、同じ目に合ってしまいました。

前に進むことができません。
後ろに進むことができません。
息ができません。
いつもよりうまく見ることができません。

できることは、苦しむことだけです。

少女は苦しみました。

何秒も、何分も、何時間も経ちました。

少女は苦しみました。

何もできず、苦しいと言い続けました。

少女は苦しみました。

段々とお腹がすいてきました。

少女は苦しみました。

体内から何かが突き刺してきます。

少女は苦しみました。

もう限界でした。

最後の力を振り絞って、少女が言いました。

「ねえ、お姉様。」

いくら待っても、返事は返ってきません。

しびれを切らした少女は言いました。

「どうして

どうして私や仲間達は

ロープに絡まったり
頭に白い袋を纏っていたり
小さくて固い何かを食べてしまっていたの？」

少女のヒレと背中にある甲羅が、輝きを失いました。

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この話はノンフィクションです。

少女の身には何が起こったのでしょうか。

結末を見て、少女の正体を知れましたか。

少女の正体を知ってから、もう一度読んでみてください。

1回目とは違う目線で見ると、気持ちはどう変わりますか。

では、2回目も読み終えたあと、ここをスクロールしてみましょう。

答え合わせです。このお話について解説をします。

少女と年上の女の子は姉妹のウミガメです。

エサを求めて様々な場所に行っていましたが、やっと故郷へ帰ってきました。

帰ってくると、漁師の捨てたロープや金具、一般人の捨てたプラスチックなどで荒れ果てていました。
巣床はゴミによって埋もれ、仲間達は餓死していきます。

しかし、少女達にはどうすることもできません。

近くの砂浜には、ゴミが山のように積もっています。
さらに人影達が、ゴミを捨てにやって来ました。
複数人いることから、沢山捨てに来たことが分かるでしょう。

少女は悟り、年上の女の子に忠告します。
しかし年上の女の子は、どこへ向かっても助からないことが分かっていたのです。
その辛い現実を少女に伝えたくなくて遠くに逃げました。

少女は逃げます。
ゴミから、仲間達の悲鳴から。

ロープに引っ掛かり動けない仲間や、プラスチックを食べ過ぎて餓死する仲間の上を泳いで行きます。
助けることはしません。
なぜなら、どうすることもできないからです。

ついに、少女の頭にも袋が絡まりました。
そして今までに食べてしまったプラスチックの効果も出てきました。

お腹からはプラスチックの破片が突き刺さります。
頭には引っ掛かっているせいで息ができません。

少女は最後に、年上の女の子に向けて問いを投げ掛けました。
「どうしてこんな目に合っているの？」と。

きっと年上の女の子ならこう答えるはずです。

「どうしようもないのよ」と。

少女の甲羅は輝きを失い、死んでしまいました。

あなたはこの話を読んでどう感じましたか。

悲しいと感じましたか。

嬉しいと感じましたか。

当たり前だと感じましたか。

何も感じませんでしたか。

少しでもこの事を覚えてください。

地球では、今現在もこの姉妹のように苦しむウミガメがいます。
彼女達にはどうすることもできません。

どうにかできるのは人間だけなのですから。

この話はリンクフリーです。

お好きなところで、リンクと共に話題に出してみてください。
勿論リンクだけでも、話題だけでも結構です。