【小説】夢でも貴方を想ふ

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※駄文注意
※小説ったら頭につけたほうが人目につく気がした（ゑ）
※読み切り小説です

…ふと、目が覚めた。
ベッドからむくりと体を起こせば、窓の外から差し込んでくる月の光が俺を照らした。窓を覗き込めば、雲ひとつない星空に浮かぶ、満月がよく見えてくる。
それから俺は目をこすって、隣で眠っていた彼女の方を向いた。
「…おはよう」
先程からずっと起きていたのか、彼女はそう俺に語りかけてくる。
白色ショートの髪が、月明かりに照らされて、やけに綺麗に見えた。
「…うん、おはよう。」
「…今は明朝の3時くらいだよ。少しすれば日が出てくると思う。…どうする？いつもみたいに出かけちゃう？」
「…それも、いいかもね」
彼女の楽しそうに話す姿を見ながら、俺は微笑みを浮かべた。
「…じゃあ、行こうか。外」
「…うん、行こう行こう♪」
と、彼女はベッドから起き上がれば、来ていたパジャマを着替えて服を着た。…もちろん、俺はその姿を見ていない。
それから俺もベッドから出て、服を着替えた。これでもう外に出られる。さあ行こう。
…それから、彼女の手を引いて、扉に手をかけて。二人で靴を履いて外に出る。
外に出てみても何もなかった。ただ月明かりが照らす道と、少し街灯が照らしてくれているって感じ。
でもこの光景ももう見慣れた。彼女と外に出るたびにいつもこの光景を見ていた。
それから、彼女と手を繋ぎながら道をただ歩く。家の明かりがついているところもあれば、ないところもある。そういうところを見て、あの家に住む人は何をしているのか。それを二人で考えながら談笑するのが日常だった。
これが幸せだった。そう、これが自分にとっての幸せだった。
「ねぇねぇ、生まれ変わったら何になりたい？」
…と、彼女は急に俺に問いかける。
「…どうしたんだ、急に。」
「んー？いや、別に。思いついただけなんだ。お互い、生まれ変わったら何になりたいのかなって」
「…俺は、また人間として、この国に生まれたい。…俺は、それだけでいいかなって思う。」
「夢がないな〜」
…と、彼女は俺の頬を指で突いてくる。
うるさい、と俺はその手を優しく振り払った。
実際、夢がないのは事実だ。俺が転載先に求めたのは"安定"。生まれ変わっても、この国の人間として生まれて。この国の娯楽を楽しんで、この国で働いて。死んでいく。俺はそれでもよかった。でも彼女はそうじゃない。彼女は、
「…私は、生まれ変わったら鳥になりたいなー♪」
…彼女が求めていたのは、"自由"だった。
「…どうして？」
俺は彼女に問いかける。気になったのだ。鳥になりたい理由を。人として、もう一度生きたがらない理由を。
「私はね、鳥を見るたびに思うんだ。鳥はさ、羽を広げて自由に空を飛べるでしょ？…でも私には羽がないし、空も飛べない、だから、生まれ変わったら鳥になって。その羽で飛んで、いろんなところを巡って、色んな景色を見てみたいの。だから、私は鳥になりたい。…鳥になれば、貴方を探して会いにこれるかもしれないしさ？」
「…そっか。それも…悪くなさそうだね」
と、俺は目を伏せながら答える。
そんな風に、彼女は考えていたんだ。彼女は、自由に、世界を飛び回り。色んなところを旅したいと思っていたんだ。
それなのに、俺は＿＿＿＿＿
「…ねぇ、◯◯。」
「…？」
「…貴方は、何になりたいの？」
「…。」
先程答えた質問を、彼女はもう一度問いただしてくる。
彼女が、鳥になって俺を見つけるというのなら。
「…俺も、鳥になる。君が鳥になるなら、俺も」
…そう、俺は手を握りしめて答えを返した。
「…そっか。」
そのただ一言を告げて、彼女は中に浮く。
「…会えるといいね、お互い。鳥として…ね？」
そう、笑みを浮かべながら彼女は空を飛んでいく。伸ばした手が、届くことはない。
何故ならば、これは………

「………。」
スマホの電子アラームの音で、俺は目がさめる。
アラームを止めてスマホで時間を確認する。時刻は5時50分。早朝。
…俺は自分の髪の毛をくしゃくしゃっと手で崩した。
「…寂しい"夢"だったな」
俺はそれだけを呟いて、窓の外を見る。
…。
窓枠に佇んでいた一羽の、名も知らぬ鳥を見つめ、俺は歯をくいしばる。
「…会いに来たってのかよ。お前は。」
と、その鳥を見ながら、悔しそうに俺は告げた。
あの時何もできなかった俺に、彼女の名を呼ぶ資格はない。彼女が好きだったなんて言えることはない。
でもこれだけは言わせてほしい。彼女を守れなかった俺が、ただ一つ、ずっと言いたかったこと。
俺は、出ない声を必死に出そうとして、その言葉を出した。
「……………。…………ごめんな」