Ψ限、追い詰められました

斉木楠雄のΨ難 短編
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短編集に出すのが野暮ったかったのでこちらへ投げます


サイキッカーズ閉じ込め。モブはいません。
最初から最後まで意味がわかりません。超能力が都合いい具合に使えません。予知能力が救いありません。霊能力は最早あるだけ無駄です。無能力は自分を呪い始めてます。



※異常性癖(?)の拗らせ、山もオチも意味もなし、救いがないだけ、オチが謎

以下の小説とも言い難いなにかを見た際は、以上のことを承諾したものと見做します。クレームは受け付けません。
猛暑日が少しサイキッカーズについて語りたくなった結果現れた産物。どうぞ。

P.S.本誌を読んでいたら、どうやら斉木が酸欠で死ぬことはないようで、その能力も使えないよう少し改変しました。


(誤スクロール防止)



























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目が覚めると、等身が小さくなっていた。1.5等身と言ったところだろう。そして何より、瓶に閉じ込められていた。周りの背景はピンク一色で、テレパシーすら感じない。制御装置を外しても何も聞こえない。そして4つで囲う形で瓶が並べられている。他の3つは鳥束に相卜、明智のようだった。勿論、そいつらも1.5等身。

僕の瓶の三分の一ぐらいはマシュマロで埋まっていた。明智はビー玉。鳥束は包まれた飴玉。相卜はドライフラワー。
この状況の意味がわからない。まぁ、瞬間移動によって瓶から脱出し、ついでに他の三人も出してやって、変身能力で元の等身へ戻り、取り敢えずピンク部屋から脱出するだけで済んだ話だ。


でも、その瞬間移動、変身能力、なんなら今迄出せていたおかしなほどの握力や透視、幽体離脱、全て脱出に関連する能力が使えないと分かったらどうしたらいいのだろうか。


今迄なら、海底でも、それこそ銀河だろうと酸素がなくても生きる程度の能力はあった。だから、この瓶の中で僕が酸欠で死ぬことはない。…無いはずだった。今はその能力さえ使えない。僕は情けないばかりで、自嘲したくなった。
しかし石化は効くらしい。メガネを外して下を向いたら、マシュマロの一つが石化した。メガネは必要らしい。制御装置を外して瓶をかち割ることを試みたが、それも無駄だった。サイコキネシスで瓶を浮かすことも無理だった。しかし制御装置を外すと石化が暴走しようとするのがわかったのでこれも外すのはやめる。


さて、どうしたものか。
取り敢えず、さっき石化したマシュマロで瓶を割るか。ゴチンと鈍い音が響くだけだった。明智が起きて状況を把握しようとしていたが動揺していたのか汗をだらだらと流して意味不明なことをぼそぼそ呟いていた。それをテレパシーで止める。瓶の中に閉じ込められた人間というのはどのくらいで酸素欠乏症により死ぬのかなんて考えたくもなかった。


相卜が起きた。テレパシーで真っ先に「何も喋るな」と伝える。一回だけ「?」という顔だけをしてくれたのは幸いだ、まだ酸素はそこまで使われていない。寝起きだから口がうまく開かなかったのだろう。
鳥束が起きた。寝起きが良いタイプなのかなんだか知らないが、「え!?え!?」と驚いていたのを即座に静止する。お願いだから、今は何も喋ってはほしくない。

鼓膜を強制的に震わすことによるテレパシーで会話できる僕にとっては酸素の消費量はそこまでだ。息を常人より長く止めることだって出来る。他の三人が誰かに何か言いたいのならば僕に頭の中で伝えてくれたら、後は三人の鼓膜を震わすだけなので会話に関しては大丈夫。しかし他の三人はそうはいかない。取り敢えず、相卜にこの先のことを予知してもらった。




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鳥束は焦っているようだ。あたりをきょろきょろ見回して不安そうにしている。お得意の「ゆうれい」とやらはいないのだろうか。楠雄の超能力がいくつか封印されているのもそうだし、ありえなくはない。それじゃなんであたしは予知を使えるのか…法則性もクソも無い気がする。しかしあるにはあるのだろうな。
明智は何も出来ないことを悔やんでいるようではあるが、無能力者なりに事の顛末を黙って見つめている。自分が喋り始めたら、何より自分が真っ先に死ぬことを理解しているらしい。


予知に関してだが、相卜だって全てを具体的に見れるわけではない。具体的な日付はおろか、場所だって特定できるわけじゃない。それでも楠雄から頼まれたことなのだ。やってみることにした。


自分の予知によるジ、という少しの音と共に具体的な未来が映し出された。そこはまだピンク一色。瓶の中でぐったりし始めた四人。見えたのはそれだった。しかしそれもぼやけて、一片しか見えない。
伝えるのを躊躇おうとして無駄だと気づく。こちらにはテレパシーが使える超能力者がいた。楠雄は苦虫を噛み潰したような顔をした後、まだテレパシーで伝えてくる。

『鳥束、幽霊を利用して場所を特定させろ』




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鳥束の心の中は、不安やらなんやらでぐるぐるの渦が出来ていた。冷静にさせるために斉木さんは自分の得意ワザな幽霊を頼らせるのを提案したのは分かる。しかし胸中がこんなのだから気づいていないのだろう。原因はそれだということに。

確かに自分は霊能力者でイタコ。イタコ………イタコだった。苦しい苦しい修行の末生み出せた能力。今やぼんやりとした霊力しか放出できず、最初に混乱ばかりした。
幽霊がぼやけて見える。視力が良すぎて頭がくらくらする。これじゃまるで、小さい頃みたいだ。でも、幼少期だって昔からくっきりと幽霊は見えたのに……理由は簡単だ。鳥束はなんとなく分かる。「等身によって能力がその分小さくなっている」ことを。
だから斉木さんの超能力は少ししか開放できない。パイネーが見たという予知をテレパシーで送られても一片しか見れない。霊能力がうまく制御できないし力が小さくなっている。
そう考えるとなんだか辻褄が合うような………いや、合わない。合わないけれど、そう考えるのが自然な気がした。

その結論を出すとさらに焦った。遠くから落ち着け、大丈夫だから、幽霊をちゃんと見ろ、見えるだろう。という冷静な声が聞こえる。
でも無理なんだ。瓶で籠もっているからか、それとも…考えたくないが、だって、いくら呼びかけて叫んでも、幽霊はこちらに背を向けるばかり。即ちそれは、俺と目が合わないということ。…それは、幽霊が頼れないこと。

泣きそうになった。駄目だ。駄目だ。水として酸素がくっつく。できるだけ酸素は使うな。斉木さんの声が聞こえる。声じゃないけど、作り物のおと。

縋るように。斉木さんが、絶対生涯するわけない、ありえないだろう、縋る目線をした。目線の先には明智を見つけた。




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そんな目線でくすお君にすがられたって、能力者の皆さんに出来ないことなんて私にできるわけないじゃないですか。

叫びたい。でも、現実的に考えてだめだ。先程から痛いぐらいに酸素、酸素というくすお君の焦る声が聞こえたからだ。

突き放すようで申し訳なかったし、無能力の自分を呪いたかった。差詰だ。
能力者のみなさんでも泣きたくなるぐらいの状況だってことは分かる。先程から鳥束君がずっと顔を埋めて震えていたから。だからこそ自分なんてなおさら泣いてはだめだという義務感にとらわれる。心を殺せ。いつものように、いつものように、頭の回転を持ち直せ。


脱出案をいくらか考えた。それをすべて潰した。それらはびっくりするほど皆さんの今は使えない能力を頼っていて、自分は何もしていないことを意味した故。

予知能力しかり、霊能力しかり、超能力しかり、無能力しかり、もうどうしようもないんだな。そんな終着点にたどり着いてしまい、下を俯くことしかできない。折角、昔助けられた恩をくすお君に返すチャンスなのに。私は何もできない。できなかった。

泣きたかった。でも、今は泣くより、鳥束君を宥めるのが先だと感じた。




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一日過ぎたのか、将又。一週間は過ぎたような気がする。あー、と声を出すことも許されない、刻一刻と酸素は減り続ける。
このままだと最初に倒れるのは明智だ。それは、…もう、どうしようもない喪失感が襲うだけだった。


死ぬならば、全員一緒に息絶えるのが嬉しい。誰かが絶望するさまなど見たくはないから。



マシュマロを徐にかじってみた。甘かった。酸素はマシュマロにむけて少しずつ酸化しているから、上の方のマシュマロはすこし腐っているのもあった。
瓶の中のもののテレポートはできるらしい。だから、僕の瓶の酸素だってあいつらにわけてやることもできる。そして、食べ物がない相卜と明智にマシュマロを送ることはできた。鳥束は少し溶けかけた、自分の体には大きすぎる飴をたまにぺろぺろと舐める。体がべたつき始めるのが見ていられなかったから、鳥束にもマシュマロをすこし与えた。

このままだと餓死が先かもしれないな。それなら、平等じゃないだろうか。そうまで考えてしまうほど、斉木はこのなにもない空間に狂ってしまっていた。



超能力者の僕にとって、死ぬなんて可能性はそうそうなかった、いつぞやのひーちゃんを思い出す。相卜に尋ねても死相は出てない…というより見えないらしいが、恐らくもうこのまま死ぬだろうことは誰しも分かっていた。


見せかけのきれいな瓶。中にはきれいなものがいっぱい。
しかし現実はそうきれいじゃなかった。ただ、僕は、ずっと、思い知らされるばかりだ。

マシュマロを頬張る。あまかった。あまい。
作り物の甘ったるさ。




四人の頭の中はすでに、カラッポが支配していた。










end ―合計4014文字

yuukari0301


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yuukari0301

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お友達募集とかお初とかの投稿を見てて思った ここ、必ずプロセカか実...


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