■Rinaria■がーるちゃんリク■

短編
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寒い。
今の心情を表すのなら、それだ。
たった三個、音を零すだけで今の想いを伝えられる。
そう思えば、コミュニケーションだってうまくいけるんじゃないかって思うけど、やっぱり人の前に立つとてんでだめだ。
きっと、あいつならそんなこと言わない。いや、まずそんなこと考えたりしない。

あいつは、行ってはいけない屋上だって行くし、左耳にピアスの穴をあけたこともあるし、男子にも女子にも人気がある。
わからないところでクラスを取り繕っていてくれたし、絶対に誰かを傷つけたりしない。だけど偽善者とかじゃない。本能的にわかる。あいつは芯からそういうやつだ。

だから、私にとって自慢の幼馴染で、それを誇りに思う。
私があいつみたいなことをしても、白い目でみられるだけで何もできない。私はそういうひとじゃないから。幼馴染だからという理由で隣に居られるけど、幼馴染じゃなかったらきっと隣には並べなかった。
私とあいつは釣り合わなかったんだ。


「帰りだろ?一緒に帰ろうぜ!」


なのにあいつは私にズカズカと踏み込んでくる。でもその行動がなければ、幼なじみという脆い縁も千切れていただろう。話してくれるだけで、日光浴をしたみたいにぽかぽかと心が温まる。

でも私はもっと釣り合うように生まれてきたかった。
隣にいても恥ずかしくないような、そんな人に。


「今日さー。昼休みの時間さー」


そんな深刻な考えも忘れさせてくれるあいつは、身振り手振りを使って私を笑わそうと一生懸命だ。
その優しさはミルクに砂糖を溶かしたみたいに、甘い。
何も気づいていないふりをしながら、気づく。見ていないようで、奥深くまでみている。そんなところだけ、すごく卑怯だ。


「あのさ、」


不意に、あいつの歩みが止まった。


「え?」
「前から思ってたんだけどさ」


冷たい、冷たい風が、びゅうっと吹く。


「お前、俺のことキライ?」


へ、と間抜けな声をあげた口を慌てて抑える。
キライ。キライ。
トマトがキライ。マラソンがキライ。数学がキライ。
いろんなキライをあげてみるけど、そんなのに当てはまるわけがない。


「私は……」


すき。
その二文字を世界に落とすだけで、私の想いは伝わる。
寒い、という三文字より簡単なのに。


「そんなこと、ないよ?」


これが精一杯だった。
私には勇気がない。
あいつみたいに、新しい一歩は踏み出せない。

「そっか、変なこと聞いてごめんな」

そう言って、前を向く。
どうしてそんなこと、と聞きたかったけど、やめた。なんとなく、話したくなかった。
風が遠慮がちに私たちの頬を撫でる。あいつの左の耳たぶをみると、まだ穴はあいていた。前に黒いピアスをしてきて先生に怒られていたっけ。
あいつが欠伸をしながら、伸びをする。私たちって、こんなに身長が違ったっけ。小さいころは私の方が何センチも背が高かったのに。


「お、もうお前の家だぞ」


いつも一緒。幼稚園だって、小学校だって、中学校だって、高校だって、帰る道だって。
だけど、想いは一緒にいられなかったのかもしれない。


「あのね、」
「どした?」
「私も変なこと聞くけどさ……」


あいつの瞳をみつめる。綺麗な黒色。きっとどんなに綺麗な宝石よりも綺麗。


「私のこと、キライ?」


大丈夫。ちゃんと言えた。
予想外の質問だったらしく、あいつは目を見開いた。
私の血液が、ぐんぐんと体の中を廻る。さっきまであんなに寒かったのに、今は少しだけ暖かい。
目を逸らしちゃだめ。逸らしたら、私が逃げちゃうから。


「……そんなわけねーだろ」


そう言って、こつん、と私の頭に軽く拳をぶつけた。
いたい、と大袈裟に言うと、うそつけ、と笑った。
大丈夫。いつも通りだ。なにも変わったりしない。


「じゃあな、また明日」


私の頭を二回、ぽんぽんとすると、あいつは背を向けて帰って行った。少しだけ、歩くのがいつもより早い。
いつも通り、じゃないじゃん。
頭なんて、触られたことないのに。いつも、かたつむりみたいにのろのろ歩くのに。
自分の頬に触れる。いつもより少しぽかぽかしている。


「勘違いさせないでよ……」


(すきって、言えない)







ちなみにこのお話は両片想いという設定ですが
このふたりは別々の大学に進むことになります。そして高三最後の春休みにくっつきます。
「これ持っといてくれないか?」
「え、これってピアス……」
「つけなくてもいいから持っといて」
「どうして……?」
「……離れてても、一緒に頑張るぞって意味」
そして、こやつはもう片方の黒いピアスをみせます。
そうなんです両耳につけるピアスをこいつは片耳にしかつけてなかったんです。
そう、彼女に渡すためです。

ピャアアアアやるな、こいつ。とか先々のことも思いながら書いてました……(このキャラ作ったの私)
なんか、高校生とか、学生っていいね。
私が一番あこがれる時期です…。

そういえば書いているうちに、なんかいっぱいになっていて、小説だけで2000文字近く書いていました……
がーるちゃん、長々とごめんね(>_<)
そしてリクエストありがとう!
では長々と失礼しましたぱーぽでした!


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にゃああああ可愛いいいいいいっっっ…
なんだよぱーぽちゃん天才か!!!
両片想いすきすぎてもうやばい、その後の話も可愛すぎる〜〜!
勘違いさせないでよ、って可愛すぎる(
よ、よかったらこれに絵描いてもいいかな。
時間かかるだろうけどいいかな……!


がーる
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もうなんなんだろうな男女って!!男女って!!!!(
もう書くとなったら妄想して書いていかなきゃやってられない。笑
どうぞどうぞこんな短編でよろしければ!!!!



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