▽怪盗と少女△
最高ランク : 67 , 更新:
「おっと、バレてしまったか」
いつどこで、かは忘れてしまったけど、確か満月の夜だったと思う。
変な仮面をつけた男の人と出会った。
その男は自分のことを「怪盗だ」といった。
真っ白なマントが風で揺らぐたびに、雪を思い出した。
冷たい、冷たい、雪。
「俺に出会えた君は幸せ者だね。まあとりあえずこれは返しておこう」
彼はそう言って、私にキラキラと虹色に輝く宝石を渡してきた。
夜をいっぱいにため込んだ宝石は、私にとってすごく重く感じた。
この人が抱え込んだことも、吸い込んでいるようで。
「あなたはどうして、」
「じゃ、またな。″紀葉"」
そこからは、ふっと目を布で覆われたように記憶が途切れていた。
翌日、目を覚ますといつものベッドの上だった。
ほとんど何も変わっていなかったけど、ひとつだけ、ひとつだけ。
変わったことがあった。
机の上に夜を吸い込んだ宝石があった。
月の光や、星の瞬き。誰かの願いや、幸せ。
その宝石は、全部を持っていた。
「どうして、名前…」
▽
その出来事があってから、私はずっと怪盗と名乗った男の人を考えていた。
同時に彼と共にいたい、とも思った。
怪盗、っていう響きがかっこいいからかもしれない。
今の日常が苦、だからかもしれない。
毎日、行きたくもない学校に行って、家でも好きなことができない。
私の空虚な生活を変えるような人。それが彼なんだ。
満月の夜になると、空をみて願った。
また彼に会えますように、と。
あとからわかったことだけど、夜をいっぱいに吸い込んだ宝石はうちのものだったらしい。
うちにそんな高価なものなんてあったっけ、と思いつつも毎日それを眺めていた。
▽
「満月だ……」
やけに重く感じる体。ああ、そうか。夕方からずっと寝てたんだ。
体を起こして窓のほうをみると、カーテンが夜の風で揺らいでいた。
……窓、開けてたっけ。
恐る恐るベッドから降りると、月光が差し込んできて目がチカチカした。
「やあ。また会ったね」
月光を反射させる、雪みたいな白色。変な仮面。
「あなたは……」
あのときの怪盗だ。
逆光がまぶしくてうまく顔はみれないけれど、彼だ。
「君は今つまらない顔をしているね」
「つまらない顔、」
彼の瞳に映らない私の顔。
つまらない? つまらないって、なんだ。
おもしろい顔があるのだろうか。
「なにも刺激がなくて、毎日がつまらなさそうだ」
そう言って彼は窓枠に手をかけた。
風でマントが翻る。
「私は……!」
「うん」
「私はこの生活から抜け出したい。あなたと一緒に行きたい!」
一歩、一歩。
空に近くなる。
「でもっ……」
「紀葉」
怖い。
今を変えたいのに、変わった先が怖い。
家のことが怖くなる。学校のことが怖くなる。
このひとと、歩んでいけるのか、怖くなる。
「来るか?」
仮面を外した彼の顔。
逆光が眩しい。
彼の瞳に映る私の顔。
「……うん!」
彼の手をとるともっと空に、満月に、近くなった。
▽
つっきーこと月鏡ちゃんの創作っ子のお話です~
スピード重視でさささーと書いてしまった…!
このふたりのお話すごく好きです♡
ああああああありがとうううう
すっごいすてき!!!!かるちゃんの文章大好きだから書いてもらえてすっごく嬉しいよ!!
本当にありがとう(´°̥̥̥ω°̥̥̥`)
竹雀
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あああそういってもらえたらめちゃくちゃうれしい!!!!
ぱ
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*ありがとうございました*
ぱ 2 7
どうも。ぱーぽです。 4月にはいりましたね。 今日、学校に行ったら桜が満開でし...
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