嘘付キ＃３「優しい嘘」

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『其方は晴れですよね？』、「貴方は泣いている様ですが。」
どうも。嘘吐き天川です。

･･･、なんだ。よく此所に来れるね。
まぁ、いいけど。

え？毎回見てるわけじゃ無い？
じゃぁ、これからは俺の此所に来る気は無い？

ソレは･･･。まぁ、いいけど()

でも、ここに来たって事は今日の話が聞きたいんだろ？
いいよ。話してあげる。

そうだなぁ。
今日は「優しすぎた嘘吐き」の話をしようか。

＿＿＿＿＿＿＿
その長い髪は真っ黒に染まっているはずなのに、
彼女はとても温かい空気を纏っているように見えた。

「此所が、嘘吐きさんが来る世界ですか？」

そして、優しい声で俺に話しかけてきた。

『残念だけど、此所は嘘吐きの場所じゃなくて嘘が流れ着く場所だ。
何処の海から来たか知らないけど、アンタが来るには罰当たりだろう。』

ここに来た人間は、大体ヒドく蜜を吸って生きてきた人間だったから
久々に心が白そうな彼女に我慢できずに受け答えた。

「いえいえ。私、沢山の嘘を受け入れて汚れてしまったんです。
それに、一番嘘吐きな人間になってしまいましたから。」

あぁ、なるほどな。だから此所に来れたのか。

俺はその時理解した。

確かに。此所には嘘吐きがよく迷い込んでくる。
初めは、稀に来る天使かと思ったかが違うようだ。

嘘って言うのにもいろいろな種類がある。

きっとこれは嘘の中でも一番綺麗に見えるものだ。

きっとね。

それなら、元の海に早く帰してあげないと。
此所の色に染まってしまう前に。

「私、此所に居たいなぁ･･･。此所なら私、死ねそう。」

『･･･は？』

その時、俺は初めて出会ったんだ。
此所で死にたいと願う人間を。

「私、今度の世界では『声』になりたい。」

その時、初めて優しい声を聞いたんだ。

「今度は誰かの優しい嘘になりたいんです。」

初めて生きて欲しいと人に対してそう思ったんだ。俺は。
その瞬間、何も意図せず無意識の内に声を上げた。

『生きろ。お前の嫌なこと、俺が全部背負う代わりにお前は生きろ。』

自分の犠牲を考えられなかった。

でも、あの子は泣きながらその時確かに笑ってくれたんだっけな。

＿＿＿＿＿＿＿

はい、おしまい。

ん？どうした、そんな顔して。
女の子はその後どうなったのかって？

あー、しんだよ。きっと今は笑ってるはずだ。

･･･。

それじゃ、
『明日は晴れるでしょうか』「はい。絶対に。」