読書感想文って

文学 メモ 読書感想文
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最高ランク : 29 , 更新: 2021/03/26 23:30:33

めちゃくちゃ面倒じゃありませんでした?


春休みに出る人もいれば、夏休みに出る人もいると思います。


でも、いざ書き方がわかってくるともう課せられなくなってしまうのが読書感想文……。


じゃあどう書けばいいんだろう。


なんとなーくわかってきたような気はするけど、まだはっきりと整理したことはないので、整理しつつ書いていきます。



っていってもブログとか書いてるような文章力ある人は苦労してないかもしれませんが。



題材にするのは「燈籠」。太宰治の、すごく短い小説です。


長い文章を読む必要はないと思います。冊子で読まなきゃいけないにしたって、分厚いものを選ぶ必要はありません。


絵本でだって読書感想文が書けるんだから、短い小説でだって書けます。



「燈籠」は、ざっくりいうと、貧しい家の一人娘であるさき子が、商業学校に通う水野さんを好きになって、彼のために海水着を盗み、周りから後ろ指をさされる話です。


引用はすべて筑摩書房「太宰治全集第二巻」より。


読んでいく中で、書き出しに向いていそうな箇所をいくつか検討つけておきます。


・弱者だとわかると好きに思ってしまうさき子
・さき子宛ての手紙を燃やしてくれと念を押す水野さん
・電燈で幸せを感じる家族。


とりあえずこの三つについて考えます。



ひとつめ。弱者を好きになってしまうさき子。


いくつかそれとわかる場所があります。


「私も、ずゐぶん兩親を、いたはります。父も母も、弱い人です。」

「私は、ひとめで人を好きになつてしまふたちの女でございます。……御様子は、たいへんお可哀さうに見えました。」

「私は強盗にだつて同情できるんだ。あの人たちは、きつと他人をだますことの出來ない弱い正直な性質なんだ。」

「おまはりさんは、蒼い顔をして、じつと私を見つめてゐました。私は、ふつとそのおまはりさんを好きに思ひました。」


こう、現代のオタクの言う、「性癖」にも似た見境のなさ。


三パターンに分けて考えられるので、十分話は膨らませられそうですね。




ふたつめ。手紙を燃やしてくれと念を押す水野さん。


これなんで手紙を燃やしてくれって頼んだかっていうと、さき子と関わっていたという事実を消したいからなんです。封筒ごと燃やしてくれっていうのはそういうことです。


よく聞く「即火中」は手紙が雑だから、酔ったまま書いたから、内容が恥ずかしいから、など内容にかかわって燃やしてほしいというのが多いですが、今回のは封筒も、と念を押しているので、まず間違いなくさき子宛てに手紙を出した自分、という証拠を消したいのだと考えていいでしょう。


ではなぜかかわった証拠を残しておきたくないのか。


さき子は海水着を盗んだ際、めちゃくちゃ言い訳をしています。


「人をだまして千圓二千圓しぼりとつても、いいえ、一身代つぶしてやつて、それで、みんなにほめられてゐる人さえあるぢやございませんか。牢はいつたい誰のためにあるのです。お金のない人ばかり牢にいれられてゐます。」


そうしてその日の夕刊に「左翼少女」と載せられてしまいます。



水野さんの手紙に戻りましょう。水野さんに手紙には、


「僕たちは、いまに偉くなるだらう」


この言葉が何を意味するか。「燈籠」が戦前に発表された作品だと考えるとわかりやすい。



と、まぁこんな感じで話を広げていきます。この話題はなかなか原稿用紙二枚で書き上げるのは難しいので、読書感想文には向いていませんね。




みっつめ。新しい電燈ではしゃぐ家族。


題名である「燈籠」につながってくる場面ですね。


私はこの場面を読んで、ある格言が思い浮かびました。


「一日幸せでいたいのならば、髪を切りなさい。一週間幸せでいたいのならば車を買いなさい。一か月幸せでいたいのならば、結婚をしなさい。一年幸せでいたいのならば、家を買いなさい。一生幸せでいたいのならば、正直でいなさい。」



いくつかパターンがあるので、似たようなものでもところどころ違う言葉になっていたりしますが、よく聞く組み合わせを載せました。


新しくて明るい電燈ではしゃぐ家族。これだけならば、家族の幸せは長くは続かないでしょう。


電燈は使うごとにへたってくるものですし、人間も明るい状況になれてしまいます。


しかし、


「ああ、覗くなら覗け、私たち親子は、美しいのだ、と庭に鳴く蟲にまでも知らせてあげたい靜かなよろこびが、胸にこみあげて來たのでございます。」



この一文を見る限り、電燈が実現する幸せの期間よりも、さき子の幸せは長く続くのではないかなと思いました。


つまはじきものにされ、隠れるように暮らしていた家族ですが、明るい電燈で障子に映る姿を走馬灯のように感じ、さき子はどこか吹っ切れているような印象を受けます。



この話題は、実体験に結びつけやすく、読書感想文向きを言えば読書感想文向きです。


誇りに思えるような小さな幸せを持っている方ならとても書きやすい話題ではないでしょうか。




話題選びのポイントなんですけど、こういう文章で話を拡げやすいのは、明確な疑問点を挙げられる場所、つまり上でいう二つ目のパターンと、実体験に結びつけやすい場所、つまり上でいう三つ目のパターンです。



なんで登場人物の性質をまとめた一つ目は違うのかというと、ある程度共通したものがないと話を拡げるのが難しいからです。

そして整理するときも抜き出さなきゃいけない箇所が多くなるので大変です。


出来ないわけじゃないんですけど、うーん、やっぱ大変だから、やめといたほうが……っていう感じ。


無難なのはやはりふたつめかみっつめです。


ふたつめは単純に疑問に思った個所を挙げ、自分なりの答えを探していきます。どうしても答えが見つからないときは話題を変えてみたり、本を印刷してそこに書き込みながら読んだりするのも手です。


てかそう考えるとやっぱ三つ目が一番簡単なんだな。


これは登場人物が話の中で考え、出した結論だったり、話の終着点を見つけられるとやりやすいです。


自分の経験に絡めるって言ったって捏造でかまいません。文章になってればいいんです。


突拍子もない話じゃいけませんが、

・スポーツ選手のある行動を見て自分も同じ気持ちになりました。

・どこそこに行ったとき、自分は何もできませんでしたが、この主人公のように行動出来たらかっこいいと思うので次は実践してみたいです。

など感じた覚えのない感情、するつもりのない行動を捏造して書いたっていいと思います。


媚びを売れば内申上がるんじゃないか、とかそんな感覚で書きましょう。




さて、話題を決めたら次に大まかな流れを作っていきます。


今回は疑問が私の中で解決している二つ目を採用しようと思います。自分語り苦手な人におすすめ。


水野さんが手紙を燃やしてくれと念を押しているのはなぜか。
さき子が左翼少女として夕刊に載せられた。
水野さんは「燈籠」の発表時期から見て左翼とは関わりたくない立場を目指していると考えられる。
よって水野さんは自分の出世のためにさき子との関係を断ち切ったうえで、やり取りがあったという過去さえも消すために、封筒ごと手紙を燃やすよう指示した。


こんな感じでしょうか。


あとは肉付けしていくだけです。実体験に結びつけろ?知ったこっちゃねーです。


右翼左翼をどう実体験に結び付ければいいんだよ。







私流読書感想文骨組みの作り方はこんな感じです。お役に立てるかはわかりませんが。


骨組みだけならパクってもばれないと思うので「燈籠」読んでみておもしれーってなったら上の三つ、使ってもいいですよ。



肉付けに関しては特に意識せずやっていて整理のしかたがわからないので、悩んでいる個所を質問していただけたら追記という形でお答えします。


私はあまり文章を書くのが得意ではないのでぐちゃぐちゃした文章になってしまいましたが、すこしでも参考になる部分があればうれしいです。

lemon1925kazi


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