君と出会えたこの１年 #１

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最高ランク : 6 , 更新： 2021/01/01 14:25:21

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「ねぇ、アリア様。私は普通でよかったの。ただ愛しい人に寄り添って幸せのまま生を終えたかった。」

彼女は僕に手を伸ばした

あまりにも白く細い指先が僕の頬をツゥッと撫でる

「どうして生まれが、家庭環境が違うだけで死ななければならない民が生まれるのでしょうね。」

掠れてしまった彼女の高い声

その声が僕の鼓膜を揺らしとき、彼女の手が地にポトリと落ちた

まるで僕から逃げていくように落ちてしまった手を僕は掴み損ねる

でも僕の感情は動かなかった

ゴフッと言いながら血を吐く彼女

その彼女の血すら薬になる

もったいなくて持っていた水筒の中身を捨て、その中に流れている彼女の血をいれた

愛しい彼女の血を

生涯愛すると誓った娘の血を

涙を流しもせず、彼女に語りかけるわけでもなく、ただ淡々と水筒に入れていく

国民のために

妹のために

己が身を焦がすほどの憎悪を覚える国王のために

彼女から水筒１杯ぶんの血をもらったあと髪の毛を櫛梳る

さらさらと流れる黒髪に艶が増した

次に優しく彼女の胸から生えていた銀色の短剣を抜いた

そして彼女の顔に化粧を施してあげた

少しの生活の中で彼女のためにしてあげれらた数少ない１つ

その数少ない１つが終わってしまった

死んでしまった彼女の顔を見ると、穏やかだった

いつも通りの顔だった

そっか、これは夢なんだ

僕は彼女が起きるのをまつ

彼女の頭を優しく撫でながら